AI研修に活用できる助成金一覧!支給要件や助成金額まとめ

AI技術を社内に導入して業務効率化を実現するためには、利用する社員のAIリテラシーが重要です。リスク対策も兼ねて、研修の実施を検討している企業も多いのではないでしょうか。 人材育成に多くの予算を割くことが難しく、導入が進まない場合には助成金を活用しましょう。AI研修の実施時によく検討されるのが「人材開発支援助成金」です。 今回は、AI研修に活用できる人材開発支援助成金について、支給要件や助成金額、申請の流れなどを詳しく紹介します。


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AI研修に活用できる「人材開発支援助成金」とは?

人材開発支援助成金は、従業員のスキル向上を目的として訓練や研修を行う企業を支援する制度で、研修費用の一部や研修期間中の賃金の一部が助成されます。

人材開発支援助成金には7つのコースがあり、AI研修に適用できるものは下記の4つです。

・人材育成支援コース
・教育訓練休暇等付与コース
・人への投資促進コース
・事業展開等リスキリング支援コース

助成金を活用することで、企業はAI技術の導入と定着に向けた研修を実施しやすくなります。

人材開発支援助成金について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
人材開発支援助成金とは?各コースの詳細や申請の流れも解説

AI研修でよく活用される「事業展開等リスキリング支援コース」について

人材開発支援助成金のうち、AI研修によく活用されるのは「事業展開等リスキリング支援コース」です。

支給要件や助成金額について詳しく紹介します。

支給要件

事業展開等リスキリング支援コースの支給要件は下記の通りです。

・助成対象となる訓練時間数が10時間以上であること
OFF-JT(企業の事業活動と区別して行う)で実施される訓練であること
・下記のいずれかに該当する訓練であること
(1)事業展開を行うにあたって、新たな分野で必要とされる専門的な知識や技能を習得するための訓練
(2) 事業展開は行わないが、企業内でデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、または環境対応(カーボンニュートラル化)に関連する業務を行うために必要となる専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練

支給要件について詳しくは、厚生労働省の公式ページをご覧ください。

>>厚生労働省「人材開発支援助成金

助成金額

助成金の支給額には、「経費助成率」「賃金助成額」「経費助成限度額」の3つが設定されています。

経費助成率は訓練にかかる費用の助成率を指し、賃金助成額は研修中の賃金に対する助成額を示します。なお、年間の助成上限額は企業規模を問わず1億円です。

それぞれの助成額・助成率は下記の通りです。

経費助成率 中小企業:75%

中小企業以外:60%

賃金助成額 中小企業:960円

中小企業以外:480円

受講者1人1時間当たり

また、定額制サービスの訓練以外の場合は、訓練時間に応じて受講者1人あたりの経費助成限度額が設定されています。

企業規模 10~99時間 100~199時間 200時間~
中小企業 30万円 40万円 50万円
中小企業以外 20万円 25万円 30万円

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金に事業展開等リスキリング支援コースを創設しました

申請の流れ

助成金を受給するためには、事前に申請が必要です。申請前に研修を実施してしまうと助成金の対象外となることに注意しましょう。申請の流れは下記の通りです。

1.事前の社内準備

社内で職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定を行います。

 

2.計画届の作成・届出

助成金の申請には、研修実施日の少なくとも1か月前までに「職業訓練実施計画」を提出する必要があります。計画届が事前に提出されていない場合、助成金が給付されません。

 

3.研修の実施

事前に提出した計画届に基づき、研修を実施します。職業訓練実施計画に変更がある場合は、変更届の提出が必要です。

 

4.支給申請書の提出

訓練終了後、訓練の翌日から2か月以内に支給申請書を作成し、賃金台帳などの必要な書類とともに提出します。期日を過ぎると申請が無効になります。

 

5.支給または不支給の決定

支給申請書類をもとに支給審査が行われ、支給・不支給が決定されます。通知までの期間は申請のタイミングや内容により変わります。

AI研修に活用できる助成金を申請する際の注意点

助成金の申請は、研修の開始前に行わなければなりません。申請前に研修を開始してしまった場合、その研修は助成金の対象外になります。

助成金の支給をスムーズに受けるためには、計画書や申請書類をしっかりと作り込む必要があります。申請準備に時間がかかるため、余裕を持って取りかかることが重要です。特に、計画書の作成は正確であることが求められるため、社内での調整や内容確認に十分な時間を確保しましょう。

社内にリソースがない場合や、初めての申請につきサポートを受けたい場合は、SkillBridge」など助成金申請のサポートを提供する研修サービスを利用するのもひとつの方法です。専門家のサポートを受けることで、申請手続きがスムーズに進み、不備や漏れによる申請却下のリスクを減らせます。

助成金を活用したAI研修の計画(カリキュラム)の立て方

最後に、助成金を活用しながら計画的に研修カリキュラムを進めるためのステップを紹介します。下記の流れに従って、従業員の成長と企業の課題解決を実現できる研修計画を構築しましょう。

ステップ1|研修の内容と対象者を明確化する

まずは、会社の人材育成計画や現状の課題を基に、研修の目的と内容を明確にします。AI研修の場合、全社で共通の知識を身につける基礎的な研修だけでなく、従業員のAIリテラシーに応じたコースを設けると効果的です。

例えば、初心者向けの基礎コースや、特定の業務や職種に特化した高度なAIスキル習得コースなど、対象者ごとに最適な内容に分けることで研修効果が高まります。

ステップ2|具体的なカリキュラムと実施方法を決定する

研修を効果的に行うためには、研修のゴールを明確にした上で、具体的なカリキュラム内容と実施方法を選ぶことが重要です。まず、自社で実施するのか、外部に委託するのかを判断しましょう。外部委託の場合は、専門機関のサービスを活用することで、質の高い研修が期待できます。

次に、オンライン研修、eラーニング、集合研修といった研修形式を選びます。例えば、全社員が対象となる場合や、管理職などスケジュール調整が難しい従業員が多い場合には、柔軟に学べるeラーニングが適しています。

また、研修場所の確保が難しい場合にも、オンライン形式が効果的です。外部の研修サービスを利用する際には、助成金の対象となる「SkillBridge」など、助成金申請サポートも提供しているサービスを選ぶことで、手続きが円滑に進みます。

ステップ3|助成金を申請する

研修の内容と実施計画が固まったら、助成金の申請手続きを進めます。職業訓練実施計画を労働局に提出するタイミングを確認して、スケジュールを整えておきましょう。

ステップ4|評価方法を決定する

研修後の成果を確認するための評価方法も事前に決めておきます。評価には、アンケートやヒアリング、テストなどを用いることで、理解度や習得度を把握できます。また、業務での実践を通じて、研修内容がどれだけ活用されているかを確認することも有効です。

ステップ5|研修を実施する

すべての準備が整ったら、計画に基づいて研修を実施します。受講者には事前に研修内容や目的を共有し、理解を促します。研修実施当日は、スムーズに進行できるように流れを事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

AI研修に助成金を活用することで、企業は負担を軽減しながら従業員のスキル向上を図ることができます。

今回紹介した人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」は、従業員がAIスキルやデジタル技術を習得する際の大きなサポートとなります。助成金の申請には事前の準備が欠かせませんが、適切に計画を立てることで、研修を効果的に実施し、企業の競争力を高めることができます。

助成金をうまく活用し、AI導入と社員の成長を両立させましょう。