人材開発支援助成金とは?各コースの詳細や申請の流れも解説

人材開発支援助成金は、企業が従業員のスキル向上やキャリア形成を支援するために利用できる助成制度です。特にAI関連の研修やオンライン学習にも対応しており、現代のデジタル化に適した人材育成が可能です。 今回は、助成金の概要や申請方法、各コースの詳細について紹介します。


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人材開発支援助成金とは

「人材開発支援助成金」とは、事業主が正規雇用する労働者に対して、職業訓練やスキルアップのための計画的な教育を行う際に、その経費や訓練期間中の賃金の一部を国が助成する制度です。これにより、企業は労働者のキャリア形成を支援しながら、持続的な発展を目指すことができます。

特にAIに関連する研修やeラーニングなどのオンライン学習も助成対象となるため、デジタル化が進む現代の人材育成に適しています。

労働者が業務に必要な専門的知識や技術の習得を目的とした企業が行う職業訓練を対象としています。

受給要件

人材開発支援助成金を受け取るためには、下記の条件を満たす必要があります。

・雇用保険が適用されている事業所であること
・支給審査に協力すること
・申請期間内に支援を行うこと

一方、下記の条件に該当する事業所は、助成金を受給できません。

・支給申請した年度の前年度以前に、労働保険料を納付していない事業所
・性風俗関連や接待を伴う飲食営業を行っている事業所
・暴力団との関係がある事業所
・支給申請日や支給決定時点で倒産している事業所

助成額の上限

人材開発支援助成金の助成額は、実施するコースによって異なります。具体的な助成額は、企業が行う訓練の内容や規模に応じて決まります。

各コースの経費助成率の上限は下記の通りです。

人材育成支援コース 60%
教育訓練休暇等付与コース 36万円
建設労働者認定訓練コース 6分の1
建設労働者技能実習コース
人への投資促進コース 75%
事業展開等リスキリング支援コース 75%

各コースの詳細な助成額については、公式ページを確認してください。

>>厚生労働省「人材開発支援助成金

>>厚生労働省「建設事業主等に対する助成金 支給要領

>>厚生労働省「人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

キャリアアップ助成金との違い

「人材開発支援助成金」と「キャリアアップ助成金」は、その支援目的や対象者に違いがあります。

人材開発支援助成金は、正規雇用労働者を対象とし、企業の発展に必要なスキル向上を支援するものです。一方で、キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者を対象とし、正規雇用への転換を目的としています。

このように、助成金の利用目的や対象者が異なるため、企業はそれぞれの助成金の条件を理解した上で、適切な制度を選択する必要があります。

人材開発支援助成金の対象コース

人材開発支援助成金には、事業主が従業員のスキルを向上させるために活用できるさまざまなコースがあります。これにより、企業は従業員の育成を強化し、業務の効率化や新たなビジネスチャンスの創出に貢献できます。

コース1|人材育成支援コース

このコースは、従業員に対して業務に必要な専門知識やスキルを習得させるための訓練が対象です。企業が実施する職業訓練や資格取得のための研修が助成対象となり、訓練にかかる経費や賃金の一部が助成されます。

特に中小企業の場合、助成率が高く設定されているため、負担を抑えて効率的な人材育成が可能です。

経費助成率と賃金助成額の上限は下記の通りです。

  中小企業 大企業
経費助成率 60% 45%
賃金助成額 960円/時間 480円/時間

※正規社員の場合
※賃金要件などを満たす場合

コース2|教育訓練休暇付与コース

従業員が自己研鑽のために休暇を取得して、業務に必要なスキルを身につける研修を受ける際に利用できるコースです。経費助成として最大30万~36万円が支給され、長期教育訓練休暇制度の場合、賃金助成が1日当たり6,000円~7,200円となっています。この制度を活用すれば、企業は従業員のキャリアアップを支援しながら、休暇中にかかるコストの一部を助成金でカバーできます。

経費助成率と賃金助成額の上限は下記の通りです。

  中小企業 大企業
経費助成率 36万円 36万円
賃金助成額

※賃金要件などを満たす場合

コース3|人への投資促進コース

このコースは、企業が人材に対して長期的な投資を行い、従業員の能力を高めることで、企業全体の成長を促すことを目的としています。デジタルスキルや成長分野の訓練に対して最大75%の経費助成、賃金助成は1時間当たり960円(中小企業の場合)が支給されます。

特に、将来のリーダー候補や専門職に対する訓練が助成対象となり、企業の戦略的な人材育成に役立ちます。

経費助成率と賃金助成額の上限は下記の通りです。

  中小企業 大企業
経費助成率 75% 65%
賃金助成額 960円/時間 480円/時間

※高度デジタル人材訓練の場合

コース4|事業展開等リスキリング支援コース

新しい事業展開や業務の変革に対応するために従業員をリスキリングする場合、このコースが適用されます。経費助成は最大75%、賃金助成は1時間当たり最大960円です。企業が新たな分野に進出する際に必要となる専門スキルの習得を支援し、事業の拡大に対応できる人材を育成できます。特に、業界の変革が進む中で、企業の競争力を高めるために重要なコースです。

経費助成率と賃金助成額の上限は下記の通りです。

  中小企業 大企業
経費助成率 75% 65%
賃金助成額 960円/時間 480円/時間

コース5|建設労働者認定訓練コース

このコースは、建設業界で働く労働者に対して、業務に必要な専門スキルを習得させるための訓練が対象です。経費助成は対象経費の1/6、賃金助成は1日当たり3,600円+条件に応じて1,000円が追加される場合があります。

資格取得や認定訓練の受講費用を助成することで、建設労働者の技能向上を図ることが可能です。特に、熟練度を高めたい中堅労働者に適しています。

コース6|建設労働者技能実習コース

建設業に従事する労働者が、業務に必要な専門的知識や技術を習得するための訓練を支援する助成金制度です。支給限度額は500万円(合計で500万円を超える場合)です。ただし、1人当たりの支給額は企業規模や受講対象者によって異なります。

このコースでは、特に安全対策や技術向上が求められる現場において、従業員が業務に即したスキルを身に付け、効率的かつ安全に業務を遂行できるようになることを目的としています。

コース7|障害者職業能力開発コース

障害のある従業員に対して、専門的なスキルを習得させるための訓練を実施する企業が利用できるコースです。企業は、障害者の職業能力を高めるための研修やトレーニングを提供し、その際に発生する経費の一部を助成金として受け取ることができます。

訓練科目ごとの施設または設備の設置・整備の場合、支給額の上限は5,000万円です。

人材開発支援助成金を申請する流れ

人材開発支援助成金を活用するためには、申請の流れを正確に理解し、適切な手続きに従うことが重要です。最後に、助成金申請の具体的なステップを紹介します。

1. 助成金の対象となる訓練計画の作成

最初に、助成金の対象となる職業訓練の計画を立てます。具体的には、従業員が業務に関連するスキルを向上させる訓練内容を決定し、それを段階的に実施するためのスケジュールを作成します。

AIに関連した研修やeラーニングも対象となるため、デジタル分野のスキルアップを目的とした訓練も考慮に入れるとよいでしょう。

▼訓練内容の例

・AI関連の技術研修
・データ分析スキルの向上
・ITセキュリティ対策講座 など

2. 助成金申請書類の準備と提出

次に、訓練計画に基づいて必要な書類を作成します。主に下記の書類が必要です。

・訓練計画書
・労働者の勤務状況に関する資料
・企業の雇用保険の適用事業所証明

これらの書類を揃え、指定された期日までに労働局に提出します。書類に不備があると申請が通らないため、十分に確認することが重要です。

3. 訓練の実施と管理

申請が承認されたら、訓練を計画に基づいて実施します。訓練中は、受講者の出席状況や進捗を記録し、適切に管理します。訓練は対面形式やオンライン形式のどちらでも実施可能です。

▼記録する事項例

・出席日数
・訓練内容の理解度
・実施したトレーニングの成果 など

4. 訓練終了後の報告書作成と提出

訓練が終了したら、報告書を作成して提出します。報告書には、訓練が計画通りに実施されたかどうかの詳細や、訓練を通じた労働者のスキル向上状況が含まれます。また、訓練にかかった経費の明細や証拠資料も必要です。

▼提出書類

・訓練実施報告書
・経費明細書
・訓練受講者の出席簿 など

5. 助成金の受給

報告書が労働局で審査され、問題がなければ助成金が支給されます。通常、訓練終了後から数か月で助成金が振り込まれます。受給の際には、企業の口座情報などを確認し、適切に処理しましょう。

▼受給までの期間

通常3か月〜6か月程度

▼助成金振込先

企業の指定口座

以上の手順に従い、しっかりと計画を進めることで、助成金をスムーズに受給することが可能です。

まとめ

人材開発支援助成金は、従業員のスキル向上や職業訓練に対して、企業が受け取れる助成金制度です。AIに関する研修やeラーニングも助成対象となり、デジタルスキル育成が求められる現代の企業にとって非常に有効です。しかし、申請手続きは煩雑なため、専門的なサポートが欠かせません。

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