マニュアル作成に活用できるAI
AIを活用してマニュアル作成を自動化する方法を紹介します。従来は時間と労力を要したマニュアル作成作業が、AIの活用によって大幅に効率化できるようになりました。業務の標準化や新人教育をスムーズに進めるために、ぜひAIツールを活用してみましょう。
生成AI
生成AIを使用すれば、マニュアルの自動作成が可能です。ChatGPTやCopilotなどの生成AIツールでは、下記のことができます。
・マニュアルの構成案の立案
・各見出しの文章作成
・文章の要約
・制作した文章の校正
・外国語への翻訳
これらの機能を活用することで、マニュアル作成の初期段階から完成まで、効率的に進めることができます。
特に、構成案の立案や文章作成において、AIが提案する内容をベースにすることで、作業時間を大幅に短縮できます。
マニュアル自動作成AI
既存のマニュアル自動作成ツールを使用すれば、マニュアルを自動的に作成できます。これらの専門ツールでは、下記のような機能が備わっています。
・会話・音声データから自動文字起こし
・操作説明文の自動作成
・入力されたテキストを音声に自動変換
・マニュアルのテキスト自動生成
・FAQのタイトル、本文の自動生成
・作成したマニュアルの自動翻訳
・作業画面の自動録画・キャプチャ
・操作画面とスクリーンショットの自動取得・編集
おすすめのマニュアル自動作成AIツールには下記のようなものがあります。
ManualForce
ブラウザ上やデスクトップ上の操作手順を自動的に記録し、AIと連携してマニュアルが自動作成されます。実際の操作を行うだけで、手順書が完成するため、作業効率が飛躍的に向上します。
操作の録画とテキスト生成を同時に行えるため、説明と画像が一致した高品質なマニュアルを短時間で作成できます。
また、チーム内で共有しやすいクラウド管理機能も備えています。
Dojo
対象のソフトを操作するだけで、操作内容やキャプチャを自動で取得・編集できる機能が搭載されています。特に複雑な操作手順を説明する際に役立ちます。
直感的なインターフェースで初心者でも扱いやすく、自動キャプチャした画像には説明文が自動で付与されるため、マニュアル作成の工数を大幅に削減できます。
さらに、作成したマニュアルは複数の形式でエクスポート可能です。
トースターチーム
マニュアルのタイトルを書くだけで、AIアシスタントがマニュアルを自動で生成します。業種や業務に応じたテンプレートが豊富に用意されており、カスタマイズが容易です。
また、作成したマニュアルは随時更新可能で、組織の知識ベースとして継続的に活用できる点も魅力です。
AIを活用したマニュアル作成の手順
AIを使ったマニュアル作成の基本的な手順を紹介します。
1.作成の目的を明確にする
マニュアル作成の目的を明確にしましょう。対象者やシーン、適用範囲などを明らかにすることが重要です。
例えば、新入社員向けの基本業務マニュアルなのか、特定の業務プロセスに特化したマニュアルなのか、あるいは緊急時対応マニュアルなのかによって、内容や詳細度が大きく異なります。
2.情報の収集・整理をする
現場担当者とのヒアリングを通じて、マニュアルに載せるべき情報を細大漏らさず収集し、整理します。できるだけ多くの関係者や部署から情報収集することが重要です。
実際の業務フローや暗黙知をもれなく集めることで、実用性の高いマニュアルになります。
この段階で集めた情報はAIに入力する重要な素材となるため、正確かつ網羅的に収集しましょう。録音や議事録などのデータはそのままAIへの入力素材として活用できます。
3.構成・目次を決める
マニュアル全体の構成や目次を決めていきます。全体の構成が定まると、盛り込むべき内容が見えてくるでしょう。
ChatGPTなどの生成AIに骨子を作成してもらうか、マニュアル作成ツールのフォーマットやテンプレートを使うと効率化しやすいです。AIには「〇〇業務のマニュアル構成を作成して」と指示するだけで、基本的な目次構成を提案してくれます。
これをベースに必要に応じて調整していくことで、バランスの取れた構成が短時間で完成します。
4.使用ツールを選び本文を作成する
ChatGPTなど生成AIで作成する場合は本文のイメージを伝えて、文章を生成してもらいます。マニュアル作成ツールでは、文章生成機能が搭載されていることも多いです。
具体的には「〇〇の手順について、初心者にもわかりやすく説明してください」といった形でAIに指示を出すことで、適切な文章が生成されます。
専門用語の説明や図解の追加なども依頼できるため、読み手に応じた柔軟な内容調整が可能です。
自動キャプチャ機能を持つツールでは、実際の操作画面を記録しながら解説文も同時に生成できるため、視覚的にもわかりやすいマニュアルが作成できます。
5.マニュアルを試験運用してみる
完成したマニュアルは、まずは試験的に運用して、問題がないかどうかを確認します。現場の担当者などからフィードバックを受け、修正するべき点があればその都度更新していきましょう。
AIが生成した内容は基本的に正確ではあるものの、組織特有の慣習や例外的な状況については補足が必要な場合があります。
実際に使用してみて初めて気づく課題も多いため、継続的な改善プロセスを設けることが重要です。
AIツールの多くは更新も容易なため、常に最新の情報を反映したマニュアルを維持できます。
AIでマニュアルを作成する際の注意点
AIを活用してマニュアル作成を効率化できる一方で、いくつかの重要な注意点があります。トラブルを未然に防ぐためにも、これらの点に留意しましょう。
必ず人がチェックする必要がある
AIのみでマニュアルを作成することはできません。AIは誤った情報や不適切な表現を自ら判断して修正することはできないため、人による確認が不可欠です。
特に専門用語や業界用語が正しく使われているか、手順の順序が適切か、説明が十分わかりやすいかなどを確認する必要があります。
AIが生成した内容は概ね正確ですが、誤解を招く表現や曖昧な説明が含まれることもあるため、実務に精通した作業者が最終チェックを行うプロセスを設けましょう。
現場特有の暗黙知などは手作業で追加する
AIは学習データにない情報から判断することはできないため、言語化されていない暗黙知や経験者の勘などを業務マニュアルに含めることはできません。これらの現場特有の情報については、作業者が手作業でデータ化するか後から追加する必要があります。
例えば「この場合は担当者の裁量で判断する」「このような状況では〇〇部署に確認する」といった組織独自のルールや判断基準は、AIが自動的に把握することはできません。
ベテラン社員の経験に基づく例外処理やトラブル対応のコツなども、正確に入力することが重要です。
情報漏洩の対策を徹底する
AIに提供したデータは提供会社によって保存されるため、情報漏洩のリスクをともないます。学習されないように設定する、提供するデータに個人情報や機密情報が含まれていないことを確認するなどの対策を行うことが重要です。
特に社内の機密情報や顧客データを含むマニュアルを作成する場合は、AIに入力する前に慎重にデータを精査する必要があります。
なお、これを徹底するには、社員に対して情報セキュリティに関する教育、AIに関するリテラシー教育も重要です。情報の取り扱いに関するガイドラインを明確にし、全員が適切に運用できる体制を整えましょう。
まとめ
AIを活用したマニュアル作成は、業務効率化に大きく役立ちます。生成AIやマニュアル自動作成ツールを使えば、構成の立案や文章の作成など多くの作業を自動化できます。
ただし、人によるチェック、暗黙知の手動追加、情報漏洩対策は欠かせません。作業者のリテラシー教育も含めて、効果的に導入するための施策を講じましょう。
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