生成AIの活用事例15選
日本企業における生成AIの活用が急速に広がっています。業種や目的に応じたさまざまな導入事例から、自社での活用方法のヒントを得られるでしょう。
ここでは、製造業からサービス業まで、生成AIをビジネスに活用している15の具体的な事例を紹介します。
セブンイレブン:商品企画の期間を短縮
セブンイレブンでは、販売データやSNSのコメントを分析し、生成AIを活用して新商品に関する文章や画像をスピーディーに作成することを実現しています。
これにより、商品企画から発売までの期間が大幅に短縮され、市場のトレンドや消費者ニーズに迅速に対応できるようになりました。
日本コカ・コーラ:消費者参加型の広告展開
日本コカ・コーラは、画像生成AIツール「Create Real Magic」を活用した消費者参加型の広告展開を行いました。2023年12月には、渋谷スクランブル交差点の4面モニターでOOH(屋外広告)ジャックを実施しました。
ツールは一般公開されており、ユーザーが「テーマ」「シーン」「スタイル」を選択することでオリジナルのクリスマスカードを生成できます。従来の一方的な広告ではなく、消費者が参加できる新しい広告モデルとして注目を集めています。
パルコ:広告の動画・ナレーション・音楽をすべてAIで作成
パルコは広告制作において、実際のモデル撮影を行わず、人物から背景まですべてをAIで生成しています。グラフィックやムービーだけでなく、ナレーションや音楽も生成AIを駆使して作成することで、制作コストの削減と制作期間の短縮を同時に実現しています。
三菱UFJ銀行:月22万時間の労働時間の削減
三菱UFJ銀行では、生成AIを活用して社内文書のドラフト作成や稟議書の作成を効率化しています。この取り組みによって、従業員は顧客との対話やサービスの質向上に多くの時間を割けるようになりました。
業務プロセス全体を見直すことで、月22万時間分の労働時間削減が可能との試算が出ています。
パナソニック コネクト:AIアシスタントサービスで生産性向上
パナソニック コネクトでは、全社員がいつでも社内情報をAIに質問できる環境を整備しています。
従業員の質問に回答できるAIアシスタントを導入することで、情報検索や業務マニュアルの閲覧にかかる時間を削減し、全社的な生産性向上を実現しています。
江崎グリコ:チャットボットによるコスト削減とAIによる商品開発
江崎グリコは、AIチャットボットを導入し、社内外の両方でのオペレーション業務を効率化しました。特に、社外からの問い合わせ件数を約31%削減することに成功しています。
また、商品開発においてもAIを活用し、新商品のアイデア創出から開発期間の短縮まで幅広く活用することで、競争力の強化を図っています。
ヤマト運輸:配送業務量予測
ヤマト運輸は、数か月先の業務量を高精度に予測できるAI「荷物量予測システム」を開発しました。季節変動や特定イベントによる荷物量の変化を予測することで、拠点で働く従業員や車両を適正に配置することに成功しています。
また、配送効率の向上とコストの最適化も同時に達成しています。
オムロン:言語指示で動くロボット開発
オムロンでは、ロボットが自然言語による指示に従って動作する技術の開発に注力しています。この技術は、これまで専門知識を持つエンジニアでしか操作できなかったロボットを、誰でも簡単に操作できるようにすることを目指しています。
一般的な言葉で指示を出せるようになることで、製造現場での複雑な操作の敷居が大きく下がり、導入のハードルが格段に低くなることが期待されています。
旭鉄鋼:製造現場をカイゼン
旭鉄鋼では、生成AIを活用して製造現場の改善活動を効率化しています。これまで属人的に管理されていた改善ノウハウをシステム化し、全社で共有・活用できる仕組みを構築することで、継続的な製造プロセスの最適化と品質向上を実現しています。
大林組:スケッチから複数の建物デザイン案を提案
大林組では、建物の形状を描いたスケッチや3Dモデルをもとに、AIが建物の外観デザインを複数提案できるシステムを導入しています。
システムを活用することで、設計の初期段階で多様なデザイン案を顧客に提示でき、顧客満足度の向上とデザイン決定プロセスの短縮を実現しています。
西松建設:高精度な建設コスト予測
西松建設は、近年の物価変動で影響を受けやすい建設コストを適切に見積もるため、経済予測ができるAIツールを導入しました。資材価格や労務費の変動を事前に把握することで、価格上昇が見込まれる資材があれば早期に発注するなど、建設コストに伴うリスク軽減に役立っています。
その結果、予算計画の精度向上と顧客との信頼関係強化につながっています。
星野リゾート:宿泊予約業務を支援
星野リゾートでは、生成AI搭載オペレーター支援ツール「KARAKURI assist」を導入し、宿泊予約に関する電子メール業務の効率化に成功しました。
予約確認や変更対応などの定型業務を迅速に処理することで、業務時間を大幅に短縮し、スタッフがより付加価値の高いサービスに集中できる環境を整えています。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン:ダイナミックプライシン グ
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、2019年1月にAIを活用したダイナミックプライシングを導入しました。需要予測に基づいて繁忙日と閑散日のチケットに価格差を設けることで、入場者数を平準化し、顧客満足度の向上につなげています。
混雑緩和と収益最大化の両立を実現した成功事例として注目されています。
メルカリ:売れやすい商品名や説明文を提案
メルカリは、出品済みの商品情報を分析し、売れ行きを促進できるような商品名や説明文を自動生成するAI機能を導入しています。
ユーザーが魅力的な商品紹介文を簡単に作成できるようサポートすることで、利用者満足度の向上を図っています。
サントリー:ユニークなCMを企画
サントリーはCM企画において、生成AIからのアイデアを積極的に取り入れています。キャストの起用や企画内容についても、AIからのアドバイスを参考に決定するなど、クリエイティブ領域でのAI活用を推進しています。
従来の発想にとらわれない斬新なCM制作により、消費者の印象に残る広告展開を実現しています。
生成AIの導入を検討する際のポイント・注意点
生成AIを企業に導入するには単にツールを選ぶだけでなく、組織全体での活用を促進するための戦略が必要です。
効果的な導入のためには、下記のポイントを考慮しながら計画的に進めることが重要です。
1.投資対効果の高い業務領域を特定する
まず、AI導入による効果が最大化できる業務領域を見極めます。定型的な事務作業やデータ分析、クリエイティブな作業の補助など、AIが特に効果を発揮する分野を優先的に選定することが重要です。これにより、限られたリソースを最適化し、投資対効果を高めることが可能となります。
2.目的に合ったツールを選定する
自社の課題や目標に最適なAIツールを選ぶことが、導入成功の鍵を握ります。現在はさまざまなAIツールが提供されているため、機能や拡張性、サポート体制などを総合的に評価し、自社の課題を解決できるツールを選ぶことが求められます。
3.リスク対策を行う
AI導入に伴うリスクを最小限に抑えるため、情報セキュリティ対策や著作権への対応のほか、ガイドラインの策定など、事前の対策が不可欠です。これらの対策を講じることで、AI導入後のトラブルや法的問題を防ぐことにつながります。
4.作業者のAIリテラシーを高める
AIを効果的に活用するためには、従業員のAIリテラシー向上が欠かせません。社内研修や実践的な演習、eラーニングの提供などを通じて、組織全体のスキルアップを図りましょう。
なお、生成AI人材の育成を本格的に進めたい企業様は、eラーニングサービスの「SkillBridge」をご検討ください。「SkillBridge」では、生成AIの基礎から応用まで、段階的に学べる学習プログラムを提供しております。
各業種や職種に合わせて、実務に即したカリキュラムを用意しているため、効果的なAI導入の実現に役立ちます。
無料トライアルも実施しておりますので、興味のある企業様はぜひお試しください。
関連記事:「AIの著作権に違反しないための企業がすべき対策5選」
まとめ
生成AIはさまざまな業界で活用され、業務効率化の実現に役立っています。自動化できる業務はAIに任せて、必要な領域のみで人間ならではのアイデアや柔軟性を活かすことができれば、企業競争力の向上が期待できるでしょう。
今回紹介した導入の際の検討ポイントを参考に、自社でどのように活用できるのかを考えてみてください。