営業×AIの事例4選とおすすめツールを紹介!

近年、営業部門でのAI活用が急速に広がっています。従来の営業活動における煩雑な事務作業や非効率な商談プロセスを、AIが効果的に改善・効率化することが可能になってきました。 今回は、営業部門が抱える主な課題やAIツール、実際の導入事例などを詳しく解説します。


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AI活用で解決する営業部門の課題

まずは、営業部門が抱える代表的な課題とAIによる解決策をみていきましょう。

煩雑な事務作業が多く営業に時間をかけられない

営業部門では煩雑な事務作業に追われ、顧客との対話や新規開拓など、本質的な営業活動の時間が圧迫されがちです。

AIを活用すれば、こうした反復的なタスクを自動化できます。メール返信の自動化や商談記録の自動作成などを実現でき、顧客との関係構築や戦略的な営業活動に集中することが可能になります。

見込みが低いリードに時間をかけてしまう

成約見込みが低いリードに時間を費やし、効率的な営業活動ができないことも課題です。「アプローチ先が見つからない」「ターゲットの選定方法がわからない」といった悩みも多いでしょう。

AIを活用すると、顧客データや行動履歴を分析し、リードが求めていることを高精度で把握できます。また、機械学習アルゴリズムは過去の成約パターンから学習し、成約につながりやすいリードを予測することも可能です。

これにより営業チームは成約確度の高いリードに集中し、時間とリソースを最適に配分できるようになります。

商談機会を逃してしまう

受注確度を正確に分析できず、商談機会を逃してしまうケースも少なくありません。顧客の購買意欲が高まるタイミングを見逃すと、大きな機会損失につながります。

このような課題の解決にも、AIが役立ちます。AIは顧客の購買行動データや過去のやり取りを分析し、最適なアプローチのタイミングを予測できるため、商談成功率を大幅に向上させることが可能です。

アポがとれても受注につながらない

アポイントメントを獲得しても、顧客の潜在的なニーズを理解できていないために受注につながらないことがあります。

一方、AIで過去の購買履歴や問い合わせ内容、ウェブでの行動パターンを分析すれば、個々の顧客にパーソナライズされた提案が可能になります。顧客の嗜好や課題を事前に把握することで、商談の質を高め、受注率を向上できます。

営業情報や進捗状況がわからない

組織内で営業情報がバラバラに管理されていることもよくある課題のひとつです。顧客情報の重複登録なども起こりがちで、商談機会の損失につながっています。

AIを導入すれば、スケジュール更新や進捗報告の自動化だけでなく、リアルタイムでデータを集約・分析し、案件の全体像を可視化できます。

個々の担当者に合った指導ができない

チームメンバーの活動状況を正確に把握できず、個々の能力や特性に合った指導ができない課題もあります。

一方、AIを活用すれば、チーム全体のスキルアップと業績向上を効率的に実現できます。例えば、営業チームのパフォーマンスを可視化でき、担当者ごとの商談成功率や対応の特徴、強みや改善点をデータに基づいて把握できます。具体的なフィードバックが可能になり、効果的な育成につながります。

営業部門におすすめのAIツール

ここでは、営業部門におすすめのAIツールをシーン別に紹介します。自社の課題に合わせて、適切なAIツールを選びましょう。

問い合わせ対応に役立つツール

AIチャットボットは営業における問い合わせ対応を大幅に効率化します。

これらのツールは質問に対して自然な会話で回答し、蓄積されたデータに基づいて最適な返答を導き出します。

24時間365日稼働可能なため、人手不足の解消や業務効率化に大きく貢献するでしょう。

▼代表的なツール
・Cognigy
・ChatGPTなどの生成AIを活用したカスタムチャットボット

オンラインミーティングに役立つツール

オンラインミーティングをサポートするAIツールは、議事録の自動作成やリアルタイム翻訳など多彩な機能が搭載されています。

また、多言語対応のツールを使えば、異なる言語を話す顧客とのコミュニケーションもスムーズに行えます。

▼代表的なツール
・Notta
・AI GIJIROKU

営業リスト作成ツール

営業リスト作成AIツールは、ゼロから見込み客リストを構築する作業を自動化します。提供会社が保有する企業リストから、ターゲット企業を抽出してリスト化できるツールが主流です。

▼代表的なツール
・Musubu
・Akala

見込み客育成に役立つツール

リードナーチャリングをサポートするAIツールは、アプローチすべき顧客や顧客ごとに取るべき施策を適切に実行できるよう支援します。見込み客と接するさまざまなチャネルで、コンテンツや顧客体験をパーソナライズできます。

▼代表的なツール
・Magic Moment Playbook
・GeAlne
・Breeze Copilot (HubSpot)

営業活動をサポートするツール

営業部門の業務を効率化し、顧客との関係を構築・維持するAIツールも多数あります。CRM、SFA、MAなどにAI機能が付帯しているケースが多く、顧客情報の一元管理、商談の進捗管理、営業メンバーの行動管理などが可能です。

▼代表的なツール
・Einstein (Salesforce)
・Breeze Copilot (HubSpot)

営業担当者の育成に役立つツール

営業中の対話の録画や電話音声などを分析できるAIツールは、担当者のスキルを評価して可視化することができます。

人では判断しにくいコミュニケーションの良し悪しや課題を客観的に分析できるため、各担当者に合った具体的な指導が実現します。本人への適切なフィードバックが可能なほか、部署全体のナレッジ共有にも役立ちます。

▼代表的なツール
・Skillpalette
・MiiTel RecPod

AIを活用した営業部門の事例4選

ここでは、実際にAIを営業部門に導入して成功を収めている事例を4つ紹介します。各企業がどのようにAIを活用し、どんな成果を上げたのか参考にしてみてください。

大塚商会|DX時代のスマートセールス

大塚商会では、dotDataというAIを活用した分析サービスを導入し、営業活動の効率化に取り組んでいます。

過去5,000万件以上の商談記録と12億件以上の売上明細をもとに、AIがビッグデータを学習。この膨大なデータから有望な見込み客を自動で抽出し、営業担当者に提案しています。

導入からわずか半年で7万件以上の商談が提案され、商談数が3倍に増加するという成果を上げました。

AIの活用により、これまで見落としていた潜在顧客の発掘や、効率的な営業活動が可能になっています。

日本生命|AIが営業スタイルを指導

日本生命では、営業職員がロールプレイング(模擬商談)をスマートフォンで自撮りし、その内容をAIが判定するシステムを導入しています。

AIは「表情」「ジェスチャー」「スピード」などを総合的に分析し、営業トークの質を判定。不十分な点まで具体的に指摘してくれるため、営業担当者は自分の弱点を客観的に把握し、効果的に改善することができます。

また、携帯に「訪問準備システム」を搭載し、個々の顧客に合わせた約2,000種類のメッセージを表示する機能も導入しています。

これにより、担当者は顧客ごとにパーソナライズされた対応が可能になり、顧客満足度の向上につながっています。

ヒノキヤグループ|AIチャットボット

住宅メーカーのヒノキヤグループでは、AIチャットボット「ひのくまコンシェルジュ」を導入しています。

このチャットボットは、営業担当者が業務中に生じる疑問をリアルタイムで解決するために開発されました。製品の仕様や価格、施工方法など、あらゆる質問に即座に回答することで、営業担当者の知識不足による機会損失を防いでいます。

担当者は顧客との商談中に生じた質問にもその場で回答できるようになり、商談の質と効率が大幅に向上しました。特に新人営業担当者の早期戦力化にも貢献しています。

横浜銀行|AIが営業応接記録をチェック

横浜銀行では、顧客関係管理システムにAIを活用した「営業応接記録チェック」機能を開発しました。

営業担当者が顧客との応接内容を記録した際、AIがその内容を1次チェックすることで、上席者が応接記録をチェックする時間を大幅に削減しています。

これにより、管理職はより戦略的な業務に多くの時間を割けるようになりました。

さらに、AI電話自動応答「MOBI VOICE」を導入し、24時間365日の自動対応を実現。応答しきれずに切れてしまう電話をなくし、顧客対応の質を向上させています。営業時間外や担当者不在時でも、顧客からの問い合わせに適切に対応できる体制を構築しました。

まとめ

AIの活用は、営業部門が抱えるさまざまな課題の解決に役立ちます。煩雑な事務作業の自動化、見込み客の精度向上、商談機会の最適化、顧客ニーズの把握、そして人材育成など、幅広い領域でAIツールが活用できます。

自社の課題に応じた適切なAIツールを選択することで、営業活動の効率と質を大きく向上させることが可能です。まずは、現在の営業課題や導入目的の明確化から始めてみましょう。