AIで効率化・高精度化するマーケティング領域
AI技術は、さまざまなマーケティング領域の効率化と高精度化に役立ちます。まずは、具体的にマーケティングのどのようなシーンで活用できるのかを解説します。
MA(マーケティングオートメーション)
AIを搭載したMAツールは、膨大な顧客データから傾向やパターンを発見し、それに基づいたターゲットセグメントの最適化が可能です。
また、継続的な機械学習によって、マーケティング施策の予測精度が時間とともに向上していきます。
▼活用できる主なAIツール
・Probance
・HITACHI マーケティングオートメーションサービス
SNS運用
AIの活用により、最適なハッシュタグや投稿文の作成、画像や動画などの生成が可能で、日々のコンテンツ制作の負担が大幅に軽減されます。
また、ツールによっては過去の投稿パフォーマンスを分析できるため、より効果的な投稿戦略の立案にも役立ちます。
▼活用できる主なAIツール
・Moribus Navi
・EmbedSocial
ECサイト運用
AIを導入することで、顧客対応の自動化、表示のパーソナライゼーションが可能になります。
そのほか、コンテンツ作成やキャンペーン企画にも活用でき、業務効率化に加えて顧客体験の向上も期待できます。
▼活用できる主なAIツール(AI搭載のECサイト)
・futureshop
▼活用できる主なAIツール(コンテンツ作成)
・Invideo AI
ターゲティング
AIを活用したターゲティングでは、過去の成約情報(顧客のハウスリスト)と膨大な企業データを組み合わせて分析し、受注確度の高いターゲットリストを生成することが可能です。
限られた営業リソースを最も効果の高いターゲットに集中投下できるようになり、客観的根拠に基づいた営業戦略を構築できます。
▼活用できる主なAIツール
・Musubu
・Sales Marker
・SalesNow
売上・需要予測
機械学習を用いて膨大なデータから将来の売上を高精度に予測できます。
過去の実績データや外部要因を考慮し、時系列分析を行うことで、環境変化やカレンダー要因など複雑な変数も考慮した予測が可能です。
新商品であっても、類似商品のデータを用いて需要予測ができます。
▼活用できる主なAIツール
・売上予測AIモデリングサービス
・アスシル
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングにAIを活用する方法は主に2つあります。
1つ目は、サービス内のデータを活用し、AIが最適なインフルエンサーを提案したり、分析レポートを提供したりするツールを使う方法です。
▼活用できる主なAIツール
・インフルエンサーAIナビ
2つ目は、生成AIによって架空のインフルエンサーをつくり、SNSマーケティングを行う方法です。
▼活用できる主なAIツール
・CoeFont
・SadTalker
SEO対策
AIを活用して、オウンドメディアなどのSEO対策ができます。キーワード選定や記事の骨子の作成、執筆など一連のコンテンツ制作に活用でき、大幅な業務効率化を実現できます。
外部ライターへの発注費用や社内リソースの削減にもつながります。
▼活用できる主なAIツール
・Claude
・Perplexity
・Creative Drive
ダイナミックプライシング(価格設定)
ダイナミックプライシングは、商品やサービスの価格を需要と供給に応じて自動的に変動させる価格戦略です。
ダイナミックプライシングには、ルールベース型とAI型の2種類あり、AI型ではデータから需要を予測し、価格を提案する仕組みです。
客観的な価格設定が自動化できるため、ノウハウやリソースが不足していても、収益の安定化・最大化を実現できるソリューションとして注目されています。
▼活用できる主なAIツール
AIを活用したマーケティング活動の事例3選
マーケティング部門のリーダーとして、競合との差別化や効率化が求められる中、AIテクノロジーは具体的にどのような成果をもたらしているのでしょうか。ここでは、実際にAIを活用してマーケティング戦略に成功している企業の事例を3つ紹介します。
Netflix|視聴傾向を分析しオリジナルコンテンツを作成
Netflixは、2億人以上の有料会員から収集された膨大な視聴データをAIが分析しています。
視聴者がどのジャンルを好み、どの俳優に惹かれ、どのようなストーリー展開に興味を示すかといった詳細なデータをAIが解析し、ヒットする可能性が高いコンテンツを予測しています。「ハウス・オブ・カード」などの人気作品は、この分析に基づいて企画されました。
さらに、AIはパーソナライズされたレコメンデーションシステムにも活用されており、個々の視聴者の好みに合わせたコンテンツを提案し、顧客満足度向上と解約率低下につなげています。
KFC|口コミの分析で話題を継続化
KFCは、複数のSNSプラットフォームから自社に関連する投稿をAIツールで収集・分析しています。「いつ」「なぜ」「どんな内容で」話題になっているのかをリアルタイムで把握し、タイムリーなマーケティング施策を実施しています。
特定のメニューや店舗についての肯定的な言及が増えた際には、その要素を強調したプロモーションを即座に展開します。また、否定的なフィードバックにも迅速に対応し、潜在的な危機を回避しています。
日本市場では、クリスマスシーズンのキャンペーンでAI分析を活用し、SNS上での反応を最大化する戦略で、継続的な注目を集めることに成功しています。
江崎グリコ|商品の需要予測
江崎グリコは、過去の販売データ、天気予報、イベント情報、SNSの口コミなどをAIで分析し、商品の売れ行きを高精度に予測しています。特にアイスクリームなどの季節性の高い商品では、気温変化による需要変動を的確に予測し、売れ残りや販売機会損失を最小限に抑えています。
AIによる需要予測の精度は従来比約20%向上し、在庫管理コストの削減と収益性の改善に貢献しました。さらに、予測データに基づいて広告展開も最適化しています。
また、AIチャットボットの導入や「ポッキー」などの新フレーバー開発でもAIを活用し、消費者の嗜好傾向を分析して製品イノベーションに役立てています。
AIを活用したマーケティング活動の注意点
AIの導入にあたっては適切な準備と計画が必要です。競合との差別化や業務効率化を実現するために、下記の注意点に留意しましょう。
保有データを最適化する
AIの性能は、入力されるデータの質に大きく依存します。不正確または不完全なデータでは、信頼性の低い結果しか得られません。
入力データの最適化には、下記のような対策が必要です。
・データの収集プロセスを見直す
・データクリーニング(重複データの削除、フォーマットの統一、欠損値の処理など)を実施する
・異なるシステムからのデータを一元管理する
作業者の育成を行う
AIツールは単に導入するだけでなく、現場の作業者が日常業務で積極的に使用できるよう組織に浸透させることが重要です。
そのため、主に作業者の育成として下記のような対策を行いましょう。
・基礎知識の教育(例:AIの基本概念などをテーマとする研修の実施)
・実践的トレーニング(例:実際のマーケティング課題にAIを適用するためのトレーニング)
・継続的に学習できる仕組みづくり(例:eラーニングの実施)
AIは定型的なタスクや分析を担い、人間は創造性や感情的なつながりが求められる業務に注力するといった、適切な役割分担も重要です。
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