AIの導入費用はどのくらい?コストを削減するポイントも解説

業務効率化のためにAI導入を検討している企業が増えていますが、実際の導入費用については不透明な部分が多いのが現状です。AIの導入費用は、開発プロセスやツールの種類によって大きく異なり、またコンサルティングから運用までさまざまな費用が発生します。 しかし、適切な導入方法を選択することで、コストを効果的に抑えることも可能です。 今回は、AI導入にかかる具体的な費用相場と、導入費用を抑えるためのポイントについて詳しく解説します。


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【開発プロセス別】AIの導入にかかる費用相場

AIシステムの導入には複数の開発工程が必要となります。業務効率化を実現するためには、コンサルティングからAI化の検証、モデル開発まで、各段階で発生する費用を把握することが重要です。

ここでは、自社の業務改善に向けたAI導入を検討する際に必要となる、各開発プロセスの費用相場をご説明します。

コンサルティング費用|40万~200万円

AIシステム導入の最初のステップは、現状の業務課題を明確にすることです。残業時間の削減や業務効率の改善といった目標に対して、AIがどのように貢献できるかを検討します。

自社内での課題整理が難しい場合は、専門のコンサルタントに依頼することで、より効果的な導入計画を策定できます。費用は案件の規模や期間によって40万円から200万円程度となります。

AI化できるかの検証費用|40万~100万円

自社の業務がAI化に適しているかどうかを判断する重要な段階です。保有するデータの種類や量、必要となるAIの精度などを総合的に評価します。

検証費用の相場は40万円から100万円程度です。ただし、機械学習に必要な「教師データ」の整備が必要な場合は、データの収集や整理の工程で追加費用が発生する可能性があります。

検証用プロトタイプの作成費用|100万円~

AI化が可能と判断された後は、AIシステムのプロトタイプ(試作品)を作成します。この段階では、企画した仕様通りの処理ができるか、基準値以上の精度が出せるかを重点的に検証します。

プロトタイプの作成費用は100万円からが相場で、場合によっては数百万円が必要になることもあります。

ただし、既存のAIテンプレートをカスタマイズする場合は、コストを抑えることが可能です。

AIモデルの開発費用|80万~250万円×人月

プロトタイプでの検証が成功したら、実際のAIモデルの開発に移ります。

AIモデルの開発費用は「80万~250万円×人月」が一般的な相場です。

ここでの人月とは、開発に必要なリソースと期間を掛け合わせた単位のことです。開発に必要なリソースが増えたり期間が延びたりすると、それに応じて費用も増加します。

例えば、プロジェクトが2人月の工数を要し(例:1人で2か月、または2人で1か月)、人月単価が100万円の場合、総開発費用は 100万円×2人月=200万円となります。

連携させるシステムの開発費用|開発規模や施策内容により変動

AIモデルを実用化するためには、それを既存のシステムと連携させたり、ユーザーが操作するためのインターフェース(UI)を開発したりする作業が必要です。

具体的な費用は、開発規模や施策内容によって変動します。小規模なUI開発なら数十万円程度で済む場合もあれば、大規模な統合が必要な場合は数千万円かかることもあります。

運用費用|60万〜200万円×人月

AIの導入後も、継続的なシステムの維持管理やパフォーマンスの最適化が必要です。

また、データ分析のアップデートを行いながら、継続的にAIの精度を向上させていく作業も行います。

この運用にかかる費用は導入規模によって大きく異なりますが、一般的に「60万〜200万円×人月」が相場です。

【ツール別】AIの導入にかかる費用相場

業務効率化のためのAIシステムは、その種類や用途によって導入費用が大きく異なります。自社の課題解決に最適なAIツールを選定するため、主要なAIシステムの費用相場を紹介します。

AIチャットボットの導入費用|20万~100万円

AIチャットボットは、社内外からの問い合わせに自動で対応し、業務効率を大幅に改善できるシステムです。人工知能が学習したデータベースから最適な回答を導き出すため、従業員の問い合わせ対応時間を削減できます。

AIチャットボットの導入費用は、選ぶチャットボットサービスや機能によって大きく異なります。

一般的には20万円~100万円ほどですが、加えて運用費用が月額10万~100万円ほど必要です。

従来型のチャットボットと比べると費用は高めになりますが、AIが機械学習を経て回答精度を向上させる機能が搭載されているため、長期的な業務効率化に貢献します。

なお、AIチャットボットについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。
AIチャットボットとは?おすすめのツールや導入の流れも解説

AI外観検査システムの導入費用|1,000万~2,000万円

AI外観検査システムは、製品の品質管理を自動化し、検査工程での人的負担を大幅に軽減できます。汚れや破損、異物混入などを高精度で検知し、作業員の負担を減らすことが可能です。

大規模工場向けのシステムでは1,000万から2,000万円ほどの費用が必要です。

ただし、クラウド型のシステムを選択すれば、初期費用を数十万円程度に抑えることができ、月額数万円程度で利用できます。

需要予測システムの導入費用|300万~600万円

需要予測システムは、過去の売上データや在庫情報をAIが分析し、将来の需要を予測するシステムです。この予測により、在庫の適正化や業務の効率化を実現できます。

導入費用は300万から600万円程度が目安となります。

最近では需要予測システムを提供する企業も増えてきたため、今後の費用相場は下がることが予想されます。

事業規模によっては高額に感じる企業もあるかもしれませんが、過剰在庫や機会損失を防ぐのに役立つため、長期的なコスト削減に貢献するでしょう。

音声認識システムの導入費用|100万円~

音声認識システムは、会議や商談の内容を自動的にテキスト化し、議事録作成などの業務効率化を実現します。導入により、書類作成時間を大幅に削減できます。

基本的な開発費用は100万円からとなりますが、高度な機能や大規模なシステムの場合は1,000万円以上の投資が必要となることもあります。

ただし、導入後の業務効率化効果は大きく、残業時間の削減に直接的に貢献します。

AIの開発・導入にかかる費用を削減するポイント

業務効率化のためのAI導入は大きな投資となりますが、適切な方法を選択することで、費用を効果的に抑えることが可能です。

ここでは、コスト削減に役立つ重要なポイントを紹介します。

ポイント1|スモールスタートで導入する

AI導入の初期費用を抑えるための効果的な方法として、アジャイル開発によるスモールスタートがあります。

これは、小規模な単位で開発を進め、段階的にシステムを構築していく手法です。

従来の開発手法では、すべての要件を最初に定義して進めますが、アジャイル開発では必要な機能から順次開発を行います。

この方法により、初期投資を抑えながら、開発途中でのトラブルにも早期に対応できるため、長期的な工数削減にもつながります。

なお、AIの導入手順については下記の記事をご覧ください。
【導入事例あり】生成AIの導入手順と導入効果を高めるポイントを紹介

ポイント2|SaaSやクラウドサービスを利用する

SaaS(Software as a Service)やクラウドサービスを活用することで、大幅なコスト削減が可能です。インターネットを通じてAIの機能を提供するため、高額な初期投資を抑えることができます。

さらに、サーバー管理やシステムの運用調整、AIの学習プロセスもサービス提供元が担当するため、運用における人件費の削減にも役立ちます。

ポイント3|一部工程を内製化する

AIモデルの設計・開発は専門会社への委託が必要ですが、データ収集や前処理作業などの工程は社内リソースで対応可能です。

また、導入後の運用や軽微な改善も内製化することで、長期的なコスト削減が期待できます。

自社開発を行う場合は、ノーコードツールなどの最新のクラウドサービスを活用することで、専門的な知識がなくても効率的に開発しやすくなります。

なお、自社でのシステム開発を効率化する方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
システム開発を効率化する3つの対策とツール5選!原因から徹底解説!

ポイント4|補助金を活用する

AI導入時には、各種補助金制度を活用することで、費用負担を軽減できます。

国や地方自治体が提供する補助金には、「AI導入補助金」「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」などがあります。

また、日本政策金融公庫による「AI活用融資」や「商業・サービス競争力強化連携支援事業」なども利用可能です。

これらの制度を活用することで、初期投資の負担を軽減しながら、効果的な業務効率化を実現できます。

関連記事:「AI研修に活用できる助成金一覧!支給要件や助成金額まとめ

まとめ

AIの導入費用は、プロセス別ではコンサルティングから運用まで各段階で費用が発生し、ツール別ではAIチャットボットの20万~100万円から、AI外観検査システムの1,000万~2,000万円まで幅広い費用体系があります。

一方で、アジャイル開発によるスモールスタートやSaaS・クラウドサービスの活用、一部工程の内製化、補助金の利用など、さまざまなコスト削減手法を組み合わせることで、効果的な導入が可能です。

まずは自社の課題を明確にし、最適なAIツールと導入方法を選定しましょう。