18Jul

【ウチのAIココがウリ】Vol.8
「保育園とAI」というとあまりピンとくる組み合わせではないかもしれない。ユニファが企画・運営する「ルクミーフォト」は、保育士が撮影した園児の写真を保護者へ届けるフォトサービス。このサービスの進化型に、AIが絡んでくる。
ユニファ「ルクミーフォト」
同サービスは、園内で保育士が撮影した画像を保護者に届けるもの。保育士が行うのは写真の撮影のみ。写真のアップロードや販売・決済などはユニファが行う。負担は最小限だが、全ての園児をバランスよく、しかもベストショットも逃さずに、となるとハードルは上がる。そこで新たに追加されたのが自動撮影機能だ。
保育士がするのは、首や胸元などに専用の小型カメラを装着するだけ。後はカメラが自動で撮影を行う。自動なので、日常のワンシーンが自然のままに撮影でき、ベストショットも逃さない。さらに失敗ショットもAIが自動判別し、除外。さらに園児ごとの写真枚数のバラつきを自動でチェックし、一目でわかるようにするため、保育士はただカメラを装着しているだけで撮影ができ、なおかつ特定の園児の画像が多すぎるなどの事態にシームレスに気づくことができる。
「私どもは、保育士さんの負担を軽減することを第一に新しい技術を取り入れています。撮影ではAIを活用した顔認識機能を搭載し、事前に顔を登録することで大量の画像からわが子の写真だけを一覧で上位表示させ、保護者が選びやすくしています。撮影の手間すら自動化できないか。自動撮影機能はそうした考えを具現化したものになります」と同社広報の小林美穂氏は説明する。
保育士をめぐる環境は、決して良好とはいえず、その労働環境改善は社会課題となっている。ユニファは、そうした側面にしっかり向き合い、テクノロジーを活用した労務負担軽減に取り組んでいる。同サービスが業務負荷軽減に取り組むにあたって、表面的でなく半歩踏み込んでいるのは、そうした強い意識があるからだ。
目指すのはテクノロジー活用による保育園の労働環境改善
その延長線上には大きな構想も描かれている。「保育園はまだ手書きなどアナログ書類が多い。それらをデータベース化し、解析。 “園児見守りAI”で分析することで、さまざまな予兆を察知。保育中の事故や感染症の予兆を知らせたり、子ども一人ひとりの発達に合わせた保育サポートができるのではないかと考えております。この仕組みを“スマート保育園構想”と提言し、展開しています」と小林氏。全国2000施設に導入するルクミーフォトの他、ルクミー午睡チェック、ルクミー体温計などを横断的に活用し、保育士の負担軽減を追求。テクノロジーによる保育園の労働環境改善を目指している。
活用することで社会が豊かになる。AIが浸透する世の中の健全な発展形はそれが理想だ。保育園という場をIoTやAIで最大限に効率化。保育士がイキイキと働けるようになれば、自ずと園内には笑顔があふれる。それは親にも伝播し、最終的には保育園を拠点に幸福が広がることにつながる。一見、AIに縁遠い保育園にその効能を最大限に活用する同社の姿勢は、AI活用の視点として見習うべき点が多そうだ。(続く)