AI活用で実現する英語学習のエンタメ化

AIでなぜ英語教育がアップデートされるのか

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AIによる教育アップデートで見据えるグローバル人材育成のシナリオ

英語学習の究極形を目指すレアジョブのR&Dプロジェクト、レアジョブEdTech Lab(以下EdTech Lab)」。それは、テクノロジーの力を活用し、英語学習の阻害要因を可能な限り排除する取り組みとなる。学習をエンタメの域にまで昇華させる――。そのゴールに壮大なテーマを掲げる一大プロジェクトの先には、世界に競争力のある人材育成という英語学習を超えた教育のアップデートも見据えている。

データで教育を科学することで何が生まれるのか

――EdTech Labが、テクノロジーによって、着々と英語学習を進化させていることは分かりました。ただ、科学の実験と異なり、学習効果の実験はエビデンスの検証が簡単でないと思います。現状、成果の検証はどういった形で行っているのでしょうか。

向 受講者と講師のマッチングなどは、実施前後の習熟度の比較もひとつです。言語能力の国際指標であるCEFR(セファール)をもとに定性的に測定することも検討しています。とはいえ、純粋にレッスンだけで、学習効果が高まったのかを判断するのは難しい部分があるのは確かです。そうした部分を考慮しながら、結果については慎重に見極めていかなければいけないと考えています。

説明する向

――手探りで進めながら、慎重に結果を見極めていく。

向 どんどん進めていく部分とアカデミックにやる部分が半々の状態です。データ分析を行う上では、もちろん過去に類似の研究がなされていないか、プロダクトの仮説を考える上でもなるべく学術的な背景を鑑みて仮説を立てています。他方で、探索的なデータ分析やプロダクトの改善においては、ドメイン知識であったりユーザーヒアリングからしかわからない点を重視して行うこともあります。

――EdTech Labは、外部の教育機関や研究組織も巻き込んでいますね。

向 我々だけでは賄いきれない知識や経験などもあるので、その点は外部とも積極的に連携しながら、プロジェクトを推進していく必要があります。教育機関との連携も今後増えていくと思います。いまは、音声解析の分野で研究が進んでいる大学などと提携し、我々自身も学ばせてもらいながら、研究を推進すべく幅広く活動を展開しています。

AI分析でみえてくる究極の個別最適指導

――データ取得においては、自社オンラインレッスンに関するデータが膨大にあるワケですが、EdTech Lab発足にあたり強化したことなどはあるのでしょうか。

向 2018年11月にSkype不要でオンライン英会話レッスンを受講できるシステム「レッスンルーム」を全会員に提供開始しました。これにより、受講者の利便性が高まるとともに、データ取得の自由度が高まりました。より踏み込んだデータ取得が可能になり、AIを用いたデータの分析や学習進捗の有効なフィードバックを行うなど、個別に最適化した英語学習が可能になると考えています。

微笑む向

――ラボに名を連ねるメンバーも優秀な人材が揃い、「英語教育3.0」の実現へ向け盤石の体制です。現状、課題を挙げるとすれば。

向 どれだけ学習者のを知れるかが課題になりそうです。というのも、現時点で我々が取得できるデータはあくまでもレッスンなどを通じた接点のもののみとなります。受講者がレッスン以外でも学習をしているとすると、習熟に関するデータが不足していることになります。そうしたデータをいかに我々が知り、学習者にフィードバックしていけるかということは課題ですね。

自動翻訳と一線画す英語習得の究極のカタチ

――少しいやらしい質問ですが、テクノロジーによって英語学習を最大化するということがある一方で、テクノロジーによって、翻訳自体を機械で行えるようするという方向性もあると思います。この点についてEdTech Labはどう考えていますか。

向 確かに自動翻訳の技術はかなり進展し、実用化レベルにあります。ものによっては相当数の言葉に変換できるものもあり、非常に有用と思っています。その一方で自動翻訳機が活躍するのはやはり限定的でもあると考えています。どういう事かと言いますと、それが「タスク(こなすべき事)」か否かで分けられると考えています。例えば買い物をするのは一時的にその場を凌げれば良いのでタスクです。一方、長い付き合いをしていく友達を作るのはタスクではありません。より自分自身の言葉で、表現で伝えていく事が重要だと「今は」考えています。

レアジョブ向

――自分の言葉でしゃべるのと機械が代弁するのは根本が違うということですね。

向 その意味で、教育による語学習得のニーズがなくなることはないでしょう。50年後は分かりませんが、少なくとも今はそう思います。もう一つ言えるのは、語学学習が大変である、という今の状況が自動翻訳を後押ししている側面があると思います。今後我々の目指す一人一人に寄り添った学習が実現できれば、語学学習の苦労から解放され、語学を学ぶ事がより当たり前になっていくと考えています。

――最後にEdTech Labの目指す未来について聞かせてください。

向 我々は英語教育に10年ほど携わっていますが、その先には“グローバルに人々が活躍する基盤を作る”という目標があります。英語を話せればグローバルリーダーかといえば、それは違います。そうなるためにはリーダーシップやコミュニケーション術など、幅広いスキルが求められます。そうしたスキルも英語教育3.0を確立することで、同様に科学していく事が可能になると考えています。そこまでを見据えていま、あらゆる角度から実験や研究を繰り返しています。(了)

前編→AIで英語教育のアップデートを目指すレアジョブEdTech Labとは


向氏向 晃弘(むかい・あきひろ)/1985年生まれ、大阪府出身。
2008年、大阪国際大学卒業後、新卒で面白法人カヤック(株式会社カヤック)にエンジニアとして入社。2012年にディレクターに転身し、幅広いサービスの開発を手掛ける。2015年、株式会社レアジョブに転職。アプリ領域の新規事業におけるUXディレクターを経て、マーケティングなどにも従事。2017年9月より、レアジョブEdTech Labの責任者として、「英語教育3.0」の実現に向け奮闘中。


<取材後記>
テクノロジーにより、誰もが英語を習得できるようにする――。英語難民の私にとってはこんなにありがたい取り組みはない。率直にそう思った。一方で、テクノロジーによる教育のアップデートとはいえ、あれだけやっても身につかなかった英語が本当に身につく様になるのかという疑念はぬぐえなかった。だが、「英語教育3.0」の実態がつまびらかになるにつれ、徐々に期待が高まっていった。教材レベルとのマッチングは当然として、講師との相性、講師の笑顔の数と満足度の相関、コンテキストの合致…そんなところまで解析していくとなると、誰にとってもフィットするレッスンに出会えても不思議はない気がしてくる。某ライザップは、スパルタだが、こちらは“究極のテクニカル”。実現すれば、苦も無く確実に英語を習得できる…。プロジェクトはスタートしたばかりだが、1,000万人の英語難民の永遠の夢がかなえられる日もそう遠くないのかもしれないと期待している。(×AI編集部)

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