AIが生成した人物素材の使い勝手

AI人物素材は今後のスタンダードになり得るのか

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AIがつくったこの世に存在しない人物素材の実用度

写真素材をダウンロードできるサイトを運営する「ACワークス」が、そのラインナップにAI人物素材を加えた。「まだ研究段階」としてβ版での提供だが、その出来栄えはなかなかのものだ。

写真素材の無料ダウンロードをサービスとする同社は、AI素材の研究開発も行っている。今回の提供素材は、許可を得て集めた写真をもとに、GAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)と呼ばれるディープラーニングを応用したAIを用い、実在しない人物の顔を生成した。

では公開されている画像をみてみよう。どれもパッと見は、なんの問題もない。人物素材として十分実用に耐え得るといっていいだろう。種類も美女がいればハンサムもいるしアジア系、欧米系もいる。すぐにでも使ってみたいレベルだ。


もう少しズームしてじっくり見てみよう。例えばこのハンサムな男性な画像(上)は、左右の頬が不自然で非対称。あごのラインもぼやけている。耳も明らかに左右で異なっている。女性の画像(下)もやはり左右が非対称で特に両目に違和感がある。


とはいえ、人間の顔はむしろ左右対称の方が不自然。おそらくGANによる生成でもその辺りを学習し、あえて非対称にした可能性はある。

サイト上で人物素材をつくりだしてくれるサービスもある。試してみると、これで生成された画像は右の頬が歪んでおり、明らかな問題品質。この辺りがまだ正式版へ移行できない要因なのだろう。


それでも公開されているAI人物素材は十分実用に耐え得るもの。なにより実在しない人物なのだから、素材としての使い勝手は申し分ない。つまり、肖像権の問題で悩む必要がゼロ、ということだ。食品と同列には語れないが、遺伝子組み換え食品のように、最小限の“リスク”で最大級のアウトプットを生み出す次世代型の量産スタイルのひとつといっていいだろう。

同社では今後について「現在は品質が不安定ですが、品質を改善するため、日々研究を続けております。ぜひ今後にご期待ください」としており、人工知能の特性を考えても、フリー素材としてのAI人物素材は、これからより品質を向上させながら、使い勝手バツグンの素材として大きく広がっていきそうだ。

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