AI時代に稼げる税理士の視点

AI時代に税理士は本当に埋もれてしまうのか

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連載:逆説的AI論

Vol.1

大久保圭太(税理士)×境目研究家・安田佳生

AI時代に生き残る税理士の考え方とは

大久保氏と安田氏

AIに仕事を奪われる職業の筆頭に挙がる士業。今回、境目研究家の安田氏が迫ったのは、財務に強い税理士の大久保圭太氏。AI脅威論などどこ吹く風で、独自ポジションを築き上げ、しっかりと稼いでいる。テーマはズバリ、AI時代に埋もれない税理士と埋もれる税理士の境目だ。

『稼げる税理士の境目』

安田 税理士さんの仕事って「AIに取られるランキング」で結構上位に入ってますよね?

大久保 入ってますね。そもそも税務の知識は、もうググれば分かるじゃないですか。

安田 でも決算書なんかは、自分では作れないですよね。

大久保 むしろそっちの方が残ってます。業界自体があまり変わってない。

安田 「変わらなきゃ」っていう焦りはないんですか?

大久保 そもそも税金徴収屋じゃないですか。税理士って。

安田 酷い言いようですね(笑)。

大久保 だって、国民から税金徴収する公務員みたいなもんですよ。

安田 じゃあ、徴収する相手から顧問料をもらってるってことですか?

大久保氏大久保 そこがうまいなと思ってて。それこそ天下り先じゃないですか。

安田 天下りなんですか?税理士さんって。

大久保 国税局に何年かいたら税理士資格がもらえて、民間から顧問料がもらえるから「税金使わずに天下り先を作る」っていうすばらしい仕組み。

安田 なんと!

大久保 それが税理士制度の基本だと思ってます。

税理士の存在意義とは

安田 なぜそんな人たちを、経営者は雇ってるんですか?

大久保 昔は税法のわかる経営者が少なかったから。彼らに聞いてた。

安田 なるほど。

大久保 多分、嘘も大いにあったと思いますよ。でも今は、何でもググって検索できるようになった。

安田 確かに。ネットで調べればたいていのことは分かりますもんね。

大久保 法律って、解釈の仕方が人によって様々なんですよね。だからネットの方が、単独の税理士より正しい可能性もあるんです。

安田 そうなんですか!

大久保 税金って、知識が割と一般化してきてるから。僕も時々ググってます(笑)。

安田 てことは、ググればわかるようなことを、顧問料を払って教えてもらってた?

大久保 そうです。それが本当の問題。

安田 なるほど。

大久保 だって「経費になるかどうか」なんて検索したら、すぐ出るじゃないですか。

安田氏安田 でもネットだと、いろんな意見が出てきますよね?

大久保 もちろん。「大丈夫」という人もいれば「大丈夫じゃない」と言う人もいる。その根拠も書いてある。それを見て正しかろう方に賭ければいい。

安田 賭ける?それがリスキーだから、税理士の先生に聞くんじゃないですか?

大久保 そこに答えなんてないんですよ。もう税理士のポリシーの問題。

安田 じゃあ、何のために顧問契約するんですか?

大久保 ひとつは税務調査の時に「戦ってくれる」ってことでしょうね。

安田 戦ってくれるんですか?

大久保 いや、人によりますね。だから、きちんと選ばなきゃダメ。

稼ぐ税理士と仕事がない税理士

安田 今、すごく稼いでる税理士さんと、ぜんぜん仕事がない税理士と、はっきり分かれてる気がするんですけど。

大久保 はい。そうなってきてます。

安田 昔はそんなことなかったんですか?

大久保 だって昔は、営業しちゃいけなかったですから。

安田 何と!じゃあ、どうやって仕事取ってたんですか?

大久保 クライアントは、どっかの先生からの紹介ですね。仕事を取ったりしようものなら、支部に呼び出しですからね。

大久保氏安田 へぇー!

大久保 電話帳にちょっと太字で名前出しただけでも、綱紀監察委員から呼び出しくらうと聞いたこともあります。

安田 じゃあ、顧問を頼む側には、選ぶ権利がなかったってことですか?

大久保 なかったです。ただ昔は、それこそ情報もないし、会計のソフトもないから、専門家としての価値はあったと思うんですよ。

安田 いつごろから、選べるようになったんですか?

大久保 選べるようになったのは、10年ぐらい前ですかね。

安田 価格設定は決まってたんですか?

大久保 はい。相続税だったらいくら、みたいに決まってました。

安田 顧問料も決まってたんですか?

大久保 決まってました。

安田 でも今は、営業も、料金設定も自由なんですよね?

大久保 はい。

安田 じゃあ、人気がない税理さんは、どんどん淘汰されてるんですか?

大久保 正直、税理士さんって、まだまだ食えちゃうんですよ。

安田 食えちゃう?

大久保 気軽に起業する人が増えたんで、案件自体は増えてるんですよ。だから帳簿つくってれば食えなくはない。

安田 でもそういう案件って、価格競争とか厳しくないですか?

大久保 そう。食えはするけど、月1〜2万の安い案件をたくさんこなさなくちゃいけない。

単価を上がられる税理士とあげれない税理士の境目

安田 単価を上げられる税理士さんって、何か決定的に違うんですか?
大久保 大手のブランド力を除けば、何かが尖ってる税理士ですね。

安田 専門的ってことですか?

大久保 今までは、広く浅くなんでも相談できる税理士でよかったんですよ。

大久保氏安田 それが変わってきてると?

大久保 ほんとに超マニアックというか、例えば相続なら相続専門とか。僕らだったら財務ですから、銀行から調達するとか。国際税務に詳しいとか。

安田 なるほど。

大久保 ほんとに高度な専門知識は、webに掲載されてるけど怪しいですし、読んでも分からないケースが多い。

安田 じゃあ広く浅くではなく、マニアックな税理士さんが儲かってると。

大久保 そういうサービスを提供してる税理士事務所は、伸びているんじゃないですか。

安田 医療で言う所の、皮膚科とか内科とか、そんなイメージですか?

大久保 そうです。そのイメージです。

AIは税理士の仕事を奪うのか

安田 総合病院で食べていけるのは、ブランド力のある大手事務所だけ?

大久保 小さいところは、何かしら特化しないと、厳しいですよね。

安田 でも、まだしばらくは食っていけると?

大久保 そこが多分、AIの話になってくると思うんですけど。

安田 あぁ、なるほど。

大久保 今はAIがあるとはいえ、申告業務をAIが全部やってくれるわけじゃない。

安田 申告業務をAIがやるようになったら、やばい?

大久保 あとは錯覚がいつまで続くか。

安田 錯覚ですか?

大久保 「税理士は必要だろう」っていう錯覚。それがあるから、なんとか食えてる。

全4連載「大久保圭太(税理士)×境目研究家・安田佳生」
Vol.1 AI時代に生き残る税理士の考え方とは
Vol.2 AI時代に稼げる税理士はなにをしているのか
Vol.3 AI時代に知っておくべき、お金の処方箋
Vol.4 気鋭の税理士が目指す新しいビジネススタイル

PROFILE

税理士

大久保圭太(おおくぼけいた)

Colorz国際税理士法人代表社員。税理士。早稲田大学卒業後、会計事務所を経て旧中央青山PwCコンサルティング(現みらいコンサルティング)に入社。中堅中小企業から上場企業まで幅広い企業に対する財務アドバイザリー・企業再生業務・M&A業務に従事。2011年に独立し、再生案件にならないような堅実な財務コンサルティングを中心に、代表として累計1000社以上の財務戦略を立案している。著書に「借りたら返すな!」(ダイヤモンド社)など。Podcast「財務アタマを鍛えるラジオ〜マネトレ〜」を配信中。

PROFILE

安田佳生

境目研究家

安田佳生(やすだよしお)

1965年、大阪府生まれ。高校卒業後渡米し、オレゴン州立大学で生物学を専攻。帰国後リクルート社を経て、1990年ワイキューブ設立。2006年に刊行した『千円札は拾うな。』は33万部超のベストセラー。新卒採用コンサルティングなどの人材採用関連を主軸に中小企業向けの経営支援事業を手がけたY-CUBE(ワイキューブ) は2007年に売上高約46億円を計上。しかし、2011年3月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。その後、境目研究家として活動を続けながら、2014年、中小企業に特化したブランディング会社「BFI」を立ち上げる。経営方針は、採用しない・育成しない・管理しない。

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