3Apr

ランサーズが“AIエンジニアギルド”の構築に動き出した。「人工知能(AI)」「IoT」「ビッグデータ」といった先端技術分野に特化した教育サービスを提供するzero to one(宮城県仙台市 代表取締役CEO 竹川 隆司)との業務提携で200人規模のAIエンジニア集団の育成を目指す。
“AI人材奨学金”でフリーエンジニアの学習支援
フリーランス総合支援プラットフォームとして事業領域を拡大する同社が、不足するAI人材の育成に乗り出す。2017年に完全グループ会社化したIT系フリーランスを支援するパラフト株式会社が保有する2万人のフリーランスエンジニア・専門職に、zero to oneの「機械学習」「ディープラーニング」の受講やJDLAのE資格取得を促すなどで、実践的なAIエンジニアの育成を図る。
zero to oneは、オンライン教材の提供を通し、過去2年間でのべ2,000人以上のAIエンジニアを育成。顧問に日本のAI開発をけん引する松尾豊氏らを揃えるなど、質の高いプログラムとオンオフに対応するきめの細かい指導体制などで、法人を軸に高い評価を集めている。
国内AIエンジニアは、圧倒的に不足。競争力で世界に大きく後れを取っている。そこで政府の統合イノベーション戦略推進会議は、全大学・高専に初級レベルのAI教育を課すなどでAI人材を年間25万人育成する戦略案を公表している。それでもまかなえる保証はなく、社会人の教育などによる転換にも期待が寄せられている。
今回の提携はそうした流れを後押しするものといえ、同社は登録エンジニアのサポートを惜しまない。具体的には、同社が一時的に費用を負担し、実業務で稼働後に実費を回収する“AI人材奨学金”のスキームが検討されている。AI案件については「関連企業からの依頼は非常に高まっており、今後もニーズは拡大していくと考えている」と同社は見込んでおり、目標の200人のAI人材が育ってくれば、まさに“AIエンジニアギルド”が構築されることになり、大型案件の受注も可能となる。
「これらの取り組みを通じ、日本国内において圧倒的に不足していると言われるAIエンジニアの育成・供給に取り組むと共に、国内大手企業における人工知能を活用した事業の一層の発展に貢献してまいります」と同社。創業時からフリーランスの地位向上を意識し続けているだけに、その熱量は高い。
AI時代が叫ばれながら、人材がボトルネックとなっている日本。企業に所属していることが、AIのスキルアップの障害になっているとすれば、全てが自己裁量のフリーランスにとって、学習機会を逃す理由はない。その意味でAI人材の不足が働き方の転換を促すトリガーとなる可能性もあり、成り行きが注目される。