AI用語事典
弱いAI
weak-AI
弱いAIとは、現在でも活躍するアメリカの哲学者ジョン・サールによって定義された言葉で、数ある人工知能の中でも「人としての自意識を備えていないもの」のことを指す。かといって処理能力が低いわけではなく、生きた人間以上の記憶能力や計算能力を誇りながらも、人間らしい自我を持たないAIのことである。
つまるところ、現存するAIは基本的に全て「弱いAI」に分類されてしまうということになる。いかに高度な機械学習が可能でも、どのように複雑なアルゴリズムを駆使して素晴らしい結果を導き出そうとも、感情を持たない以上は弱いAIなのだ。なぜならば高度な記憶や計算が可能でも、その根底には「自分がこうしたい」「こういう結果に活かしたい」といった希望がないからである。
そもそもAIという存在自体、明確に定義されているものではない。一般的には語源のとおり「人の手によって造られた知能」なのだが、例えば日本では漫画やアニメに取り扱われることも多いせいかアンドロイドや某猫型ロボットを作る技術のようにイメージされることが多く、アメリカでは人間のもつ脳や身体などの機能を、別媒体で異なる仕組みとして実現する技術とイメージされることが多いと言う。目的に応じてかなり細分化している上、目まぐるしく発展し続けている分野である以上は仕方のないことなのかもしれない。
しかし、この異なるイメージからも、AIの目指す到達点は共通して「人間のように思考できる技術や存在を人の手によって生み出すこと」だと分かる。弱いAIはその中では「特化型人工知能」とも呼ばれ、ある特定の事柄にのみ秀でてはいるものの、あくまでも認知の範囲は狭く、決して人間の代わりにはなれない存在を指すのである。
AI用語解説:×AI編集部監修