AI用語事典
超人AI
superman-AI
超人AIとは、肉体的にのみならず精神的にも人間を超えた存在のこと。一見人智を超越したアンドロイドやロボットなどを指すようだが、この場合はどちらかといえば科学的な技術により人間の能力を最大限引き出すことで、老いや病、怪我など本来ならば望ましくない状態を克服しようとする取り組みを言う。
この技術に関する研究は「超人間主義(トランス・ヒューマニズム)」と呼ばれ、将来起こりうることを研究する未来学の一種とされる。これは遡ればルネサンス期からあった思想だが、着想そのものは1923年、イギリスの生物学者J・B・S・ホールデンが著した『ダイダロス、あるいは科学と未来』が先駆と言えるだろう。
トランス・ヒューマニズムに傾倒する人々は人工知能(AI)や仮想現実(VR)をはじめ、ナノテクノロジーやバイオテクノロジー、人の心をコンピューターに転送するという精神転送、人体の冷凍保存など、これから実際に発展が期待されるものからやや実現が難しそうなものまで、ある意味で人間が超人的になれる可能性を秘めたものならば躊躇わず支持し、実際に具体的な研究を行っている。特に脳とコンピューターの接続や寿命の延長などについては、実現すれば世界的に注目を集めるに違いない。
ただし、超人AIは俗に言う「特化型人工知能(弱いAI)」を称賛する言葉として使われることもあるよう。2016年に「アルファ碁」というプログラムによってプロの囲碁棋士が敗北したニュースは世界に衝撃を与えたが、今年に入ってベルギーのプログラマーが「LeelaZero(リーラゼロ)」と「ELF(エルフ)」という2種の類似したAIの設計を公開したことで、AIに対局の判断を委ねるという不正が行われないよう囲碁、将棋界がスマートフォン使用の規制に乗り出した。この時、そのAIを表現する言葉として「超人AI」が使用されている。つまるところ、人の能力を超えた(超人的な)コンピューター、というわけだ。
AI用語解説:×AI編集部監修