AI時代に間違いがちなピンボケ視点

AI時代の主役がAIでない理由とは

menu

×AI

コールセンターに見るAI×人間の協業の理想のカタチ

人間が得意なことはAIが苦手で人間が苦手なことはAIが得意といわれている。ざっくりいえば、人間がパターン化されていない事象への対応がうまいのに対し、AIはきっちりデータが揃い、パターンが確立された事象への対応が得意ということだ。

得意×不得意の補完関係がAIとヒトを最大化する組み合わせ

AIは魔法でもなんでもない。とはいえ、その使い方次第では魔法のようにすさまじいアウトプットを出してくれる。逆説的だが、その糸口は、AIに注視するのではなく、いかに人間とコンビを組んだ時に、相互作用をもたらしてくれるのかを考えることからみえてくる。

株式会社アドバンスト・メディアが新たにリリースした「AmiVoice Communication Suite provided by コラボス」は、最新のAI音声認識技術により、コールセンターでの顧客およびオペレーターの全ての通話内容をリアルタイムでテキスト化。それにより、通話内容からキーワードに紐づいたFAQの回答や説明資料を自動的に表示したり、テキスト化した内容の検証など、応対品質と顧客満足度の向上をサポートする。

そのままチャットボットに応用すれば、無人での対応も可能かもしれない。人件費削減視点では魅力的だろう。だが、実際の電話応答では、質問内容と聞きたいことが微妙に違っていたり、クレームなのか単なる問い合わせなのかの判別はデータ重視では意外に難しい。なによりも、もしもその判断が間違っていた場合、企業は大きなダメージを被ることになる…。

コールセンター業務で人を最大限にするフォローするAI

同ツールは、そうしたリスクを人間とのタッグでうまく回避する機能を盛り込んでいる。例えば、事前にキーワードを登録しておけば音声認識でFAQ検索や資料の呼び出しなどが可能で、顧客への速やかな対応につなげられる。感情解析機能もあり、怒り・悲しみ・喜びなどを表示でき、顧客の感情に合わせた適切なコミュニケーションを支援してくれる。

複数コールの同時モニタリングや複数拠点の一括管理が可能なため、マネジメントの効率化もできる。こうした機能をAI単独で活用することで、ゆくゆくはコールセンター業務の自動化へつなげることも可能だろう。だが、現実的にAIは、なぜ顧客が問い合わせをしているのかが分かることはなく、単にデータに基づいて対応しているに過ぎない。従って、サービス内容の照会や使い方などを聞きたい相手に対しては無難に対応できるが、そこに別の意図がある場合などは使い物にならないと考えたほうがいい。

その点で同ツールは、AIが得意なデータからの処理や判断をベースとしながら、あくまでも主導は人間としており、顧客を不満にさせないことを最重視している。人間のようにふるまうことは技術的には可能でも、電話した人間の感情の奥まではAIには分かる由もない。そうした部分はあえて人間が担いながら、煩雑な作業や解析等はAIが最大限にフォロー。まさにAI×人間の一つの理想形といえる仕事の仕方を同ツールは全面サポートする。

AI時代といわれるが、人間を完全に凌駕するAIが誕生していない今の時点では、AIにすべてを任せるという視点では最適解にたどり着けない。AIを活用することでこれまでの人の作業を最大化し、既存サービスを最大級に高める。そうしたスタンスで考えるのが現時点での適切なビジネス視点といえるだろう。

関連記事