23May

<ウチのAIココがウリ> Vol.2
AI導入で作業効率が数倍アップした、需要予測がより正確になった…。限定的ながら人間を凌駕するパフォーマンスを誇るAIが業務にもたらす効果には計り知れないものがある。別の側面で、人間がやるよりAIに任せる方が理にかなっていることもある。アースアイズが展開する「AIガードマン」もそのひとつといえるだろう。
【アースアイズ AIガードマン】
ネーミングから察しがつく様に、同サービスは、AI搭載カメラで万引きを抑止する。その仕組みは、カメラで取得した映像情報を元に仮想的に立体空間を作り出し、人や物の距離を把握する技術を搭載したAIカメラで不審者を撮影。そこから万引き犯特有の不審な動きを検知し、その情報をAIクラウドを通じ、店員のスマホへ通知。店員が声掛けすることで万引き防止につなげる。
どうやって万引きを“検知”するのか
ポイントとなるのは、万引き犯特有の動きの解析だ。“教師データ” となるのは、同社が保有する過去の膨大な消費者行動データ。これをもとにAIが学習。ベテランの万引きGメンとのすり合わせやファイル更新を随時行うなどで、新たな万引き手口や不審行動の変化にも対応する。
「通常の防犯カメラでは店員や警備スタッフが映像を確認する必要がありますが、人間の代わりにAIガードマンが不審行動を監視することで効率的な声がけが可能となります。昨年、ドラッグストアでの導入結果は、3か月で万引きロス額が約43%減少しました」と同社。AIゆえの“密かなる通知”により、優れた成果が出ることが実証されている。
AI活用を不審行動の検知にとどめていることも、良好な結果につながっている要因といえる。同サービスでの目的はあくまで万引きの予防。だから店員は不審者に対し、声掛けをするだけ。それでも十分万引きの抑止効果がある。
親和性が高い万引き防止とAIの組み合わせ
万事に当てはまるとは言えないが、少なくともAIは万引き防止と親和性が高い。すでに成果が出ていることを踏まえても、それは確かといえそうだ。つまり、警備スタッフによる万引き防止では店内に警戒心や不穏なムードを漂わせることも否定できない。一方、AI活用ではむしろ、店内のムードを乱すことはない。しかも、行動はあくまで声がけのみ。だから、誤検挙といった不幸ももたらさない。売り場という空間で誰も不幸にしないのは、AIゆえといえるだろう。
リアル店舗では万引きによる売り上げロスが一定数あり、各社がその対策に頭を悩ませている。それだけに、同サービスへの関心も高まりつつある。最新型のAIカメラでは、検知角度、検知距離の向上により、従来品比で検知エリアが約3倍に拡大。少ない台数で必要範囲をカバー可能になり、導入コストが低廉化。今後の普及加速が期待される。
人はより人間らしく、その強みを生かした仕事をする――。AI時代は、人間らしい仕事をする時間により多くの時間が割かれ、それが事業を推進することにつながるといわれる。一方で、AIに任せた方が経済原理上理にかなっている仕事もある。AIガードマンは、AIがやる方がいい部分を担いつつ、作業全体としては人間との協業で完結する点で、第三のAI活用の手本となるひとつのカタチといえるのかもしれない。(続く)