連載:AI脳の創り方
Vol.4
ビジネスパーソンのための戦略的AI活用のキモ
26Mar

スマートフォンの普及などもあり、若い人達を中心にチャットを利用することの抵抗感が少なくなってきています。抵抗感が少ないどころか電話よりもチャットのほうが気楽だと、電話の方が敬遠されることがあるほどです。そのため、今では多くの企業のホームページやLINEのアカウントなどにもチャットの窓口が作られるようになっています。
「りんな」が火をつけたAIチャットボットの拡がり
そうしたチャットの窓口の裏側では電話の時と同じように人間のオペレーターがいて対応をする場合もありますが、チャットボットと呼ばれるAIが人間の代わりに対応をしているものも多くあります。
チャットはテキストのみのやりとりになるため、電話に比べて簡単にコンピューターに返事をさせることができます。文章が自然であれば人間ではなくコンピューターが回答をしていても、それはコンピューターが答えているのか人間が答えているのかはわかりません。それくらい自然で滑らかな会話も可能なレベルになっています。
実際に2015年に登場したマイクロソフトの「りんな」というチャットボットは、入力された様々な話題に対し、人間らしい自然な回答をしてくれるものでした。もちろん中身はAIなので機械的に入力された内容に応じた返事をしているだけなのですが、その回答は所々人間が代わりに返事をしていると言われても納得できるほど自然なものでした。
拡がるAIチャットボットの盲点とは
そんな「りんな」がAIブームの始まりとほぼ同時期に登場したこともあり、チャットボットはAIと同様にブームとなって多くのAIチャットボットサービスを生み出しました。
人間と自然な会話できるAIを使って、多くのコールセンターで行っている問い合わせや依頼などの業務をチャットボットに任せられるのではないかと考えられたのです。実際、多くの方が企業のホームページに設置されたチャット窓口を見たことがあるのではないでしょうか。
しかし、こうしたサービスを使ってみたことがある方ならわかるでしょう。なかなか自然な会話ができると思えるようなチャットボットは存在しません。ものによっては、少し込み入ったことを聞こうものなら「わかりません」とすげなく返されるばかりで、ストレスこそ感じれど、あまり役に立つようには思えません。
「りんな」が実現するあの自然な会話をイメージすれば、できてもおかしくないと思えます。一体なぜ、企業のチャット窓口は「りんな」のように自然な会話ができないでしょうか。それには会話の内容に関する、ある決定的な違いがあるからなのです。
AI脳の創り方「ビジネスパーソンのための戦略的AI活用のキモ」
前の記事 Vol.03 AIを使うにはAIをマネジメントする能力が必要
次の記事 Vol.05 まだ“未熟”なAIチャットボットを有効活用する勘所
PROFILE

株式会社 TMJ 営業統括本部 マーケティング推進本部 サービス推進部 Data Science推進室
小泉 敬寛(こいずみ たかひろ)
2008年より京都大学 工学研究科 助教としてウェアラブルメディア、コミュニケーションに関する研究を行う。2016年より株式会社TMJに入社。現職では統計処理や機械学習などの新技術に関する調査、研究・開発を担当。AIをはじめとする新規技術を使ったサービスやソリューションの提案やコンサルティングに取り組んでいる。