6Mar

中小企業の約6割がAIに対する知識がない。(株)リアルインサイトが「日本の中小企業のAI導入状況」についてアンケート調査を実施。その結果、59%がAIの知識がないと回答した。対象は全国の中小企業506社。
中小企業のAIにかけられるコストは?
妥当なのか、悲惨なのか…。同調査からあぶり出された中小企業のAIとの向き合い方は、「AI時代」が一部大手にのみ当てはまるトピックといわざる得ない内容だ。象徴的なのは、月にかけられるコストに関する回答。80%が提示したのが10万円/月まで。現状では事実上導入不可に等しい結果だ。
一方でその可能性については、導入により会社の生産性が上がると思うが68%となっており、さらに知識がないと回答した93%が今後AIを学びたいとしている。予算的に厳しいが、AIは十分に意識している。こと中小企業に関しては、関心があるが現状では手が出せないというのが実状のようだ。
結果を詳細に見ていくと、AI導入の“壁”もみえてくる。導入障壁についての質問に対しては、コストと並び、導入の仕方が分からない(38%)、費用対効果が見えない(36%)、技術的に疎い(27%)、詳しい社員がいない(27%)などが上がっている。これらはAI導入に立ちはだかる典型的な障壁といえるが、逆にいえば導入以前の問題ともいえる。
結局、AIへの認識不足がボトルネック?
こうした状況を踏まえ、同社は次のように分析している。「調査結果からはAIに興味があり、学びたいという実状が見えてくるが、必要ないという回答もあった。これらは結局、AIの知識不足から来ていると予想される。今後、AIを学ぶ機会の増加やAIの知識が世間一般にさらに広がれば大いに変わっていくと考えられる」。
AI導入による成果、どんなことがAIによって改善されるのか…。そうしたAIのビジネス実装における恩恵を明確にイメージできない。そのことが、導入コストに縛られ、それ以上の発想につながらない要因ということだろう。
中小企業の導入事例で、職人の技術をAIに“移植”し、品質を維持したまま大量生産を実現。生産性を大幅に向上することで売り上げを大きく伸ばした事例がある。小さいから予算がない。必要ないではなく、大きくするためにAIを活用する。そうした視点を持つことが、中小企業がAIとの距離を縮める第一歩といえるのかもしれない。