連載:AI脳の創り方
Vol.2
ビジネスパーソンのための戦略的AI活用のキモ
26Feb

<『AI』はこれまで人間がやるしかなかった業務を代わりに実施してくれるようになります>
よく聞くAI導入時の紹介フレーズです。ズキッと刺さる言葉ですが、本当に今あなたがやっている業務はそんなに簡単に『AI』が代わりやってくれるようなものなのでしょうか…。
『AI』がそのまま業務を代替することはない
当然ですが、いま人間がやっている業務をそのまま代わりにこなしてくれるということはほぼありません。導入を成功させるには、ただ『AI』に任せるのではなく、うまく業務に組み入れる工夫が必要になります。
今回は、そうした工夫をして人間がやっていた業務に上手く『AI』を活用できた例をご紹介したいと思います。
某企業ではクライアントが自店舗のECサイトをつくれるプラットフォームを提供しています。そこでは、各店舗が自店舗の紹介や商品アピールなどの文章をアップロードすることができますが、こうした文章は、当然そのままでは文章としての体裁に問題があったり、不適切な表現や法律的に問題になるような表現が含まれてしまっている場合があります。自社プラットフォーム上に掲載されている以上、そうした問題がある文章は修正をし、相応しい内容にするチェックが欠かせません。
しかし、クライアント数が増えれば増えるほどチェックしなければいけない件数は増えていきます。かといって、そう簡単にチェックする人員を増やすことはできません。
また、文章表現のチェックというのは単純にルール化できることはほとんどなく、たいていは多量の事例とあとは担当者の経験によって基準が作られていくものです。そのため、チェック作業は複数の担当者の暗黙知に頼る形になりがちです。
こうした業務で『AI』を活用して生産性の向上とともに、属人化した業務の標準化を狙うというのは、典型的な活用方法のひとつです。
AIが苦手なことを見極めておく重要性
とはいえ、いま人がやっていることを単純に『AI』にさせることはできません。なぜなら、実際の業務では、問題のある文章を見つける以外にも問題のある箇所をわかりやすいようにマークし、関係者に連絡し、さらにどう修正すればいいのかといったアドバイスを行うなど多岐に渡る作業を同時に行っているからです。
現状の『AI』は基本的に1つの事しかできしません。ですから、こうした作業全てを『AI』に行わせることはできません。特に関係者への修正依頼のような仕事は、いまのAIには困難です。ではどうすれば良いのでしょうか。
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PROFILE

株式会社 TMJ 営業統括本部 マーケティング推進本部 サービス推進部 Data Science推進室
小泉 敬寛(こいずみ たかひろ)
2008年より京都大学 工学研究科 助教としてウェアラブルメディア、コミュニケーションに関する研究を行う。2016年より株式会社TMJに入社。現職では統計処理や機械学習などの新技術に関する調査、研究・開発を担当。AIをはじめとする新規技術を使ったサービスやソリューションの提案やコンサルティングに取り組んでいる。