25Feb

AI人材の不足が叫ばれる中、東京海上ホールディングス株式会社(取締役社長 グループCEO 永野 毅、以下「当社」)は、データサイエンティストの育成を目的として、同社グループ専用の育成プログラム「Data Science Hill Climb」を創設。自前でのAI人材育成に乗り出した。
松尾氏監修の体系的スキーム
同プログラムは、AIの第一人者で東京大学大学院工学系研究科 松尾 豊 特任准教授による監修のもとに設計。同社のデータサイエンティスト適性人材の発掘・育成・評価のための体系的スキームとなっている。
同プログラム設立について、同社では次のように背景を説明する。「当社はAI・機械学習を活用した保険引受の効率化や、事故を予防・軽減するサービスの開発等に取り組んでいる。これらの実現には、保険業務を理解し、独自の最適なアルゴリズムを適用できるデータサイエンティストが必要となるが、そうした人材は多くないのが現状。そこでそうした人材確保のため、育成プログラムの運用を開した」。
不足するAI人材確保にその争奪戦は激化しているが、それらと並行しながら同社では自前で人材を育成。保険業界におけるデジタルトランスフォーメーションの円滑な実現を目指す。
松尾氏監修の同プログラムは、これまで蓄積された教育ノウハウを最大限に活用。具体的には、確率統計や線形代数といった基礎数学から、AI・機械学習モデルの理論的背景の理解、それらのプログラミングによる実装、さらに実ビジネス活用のための実践的演習までを一貫して習得できる濃密な内容で、本格的なデータサイエンティストの育成を視野に入れる。
プログラムは、延べ200時間以上におよび、長期の育成カリキュラムによって、データサイエンスを基礎から体系的に習得することを目指す。カリキュラムの運営は、データサイエンス人材教育の経験を有するNABLAS株式会社、株式会社ALBERT、スキルアップAI株式会社の3社と協力して実施する。
プログラム運用にあたっては、2018年度中にトライアルを完了。2019年度より正式な育成プログラムとして運用を開始する。2020年度以降も専門研修を中心に研修プログラムの充実を図り、デジタルトランスフォーメーションを担う人材の育成に取り組んでいく。
同社では、同プログラムの外部提供も検討しており、自社での成果を踏まえつつ、AI人材育成をバックアップ。国内のAI産業の活性化のために、惜しみなくノウハウを提供する意向だ。