連載:Q&AI
Vol.3
AIベンチャー社長がズバリ指南。失敗しないAI活用の勘どころ
14Feb

AIベンチャー社長中村氏が、悩める担当者にズバリ回答するビジネス相談室。
Q:画像認識を導入した中古品リサイクルをネット展開したい
Q:画像認識で真贋をチェックすることでコストを抑えつつ、健全な市場を構築したいと考えている。医療分野では画像認識が医師の目を上回るそうなので期待しているが、意識的にロボットをだますのは簡単という懸念もある。
A:出品物の真贋を画像認証で行うというのはアリ
A:出品物の真贋を画像認証で行うというのはもちろんアリでしょう。昨今の画像認証の精度を考えても、十分に機能するハズです。
ただ、難しい部分もいくつかあります。ひとつは、ホンモノだと認識させるための画像データの用意がかなり大変な作業になること。真贋が必要ということは高額品が中心になるとすると、そうした出品をどれだけ集められるか、という点も気になります。
AIをだますのが簡単という懸念については、それ以上にホンモノと見まがう偽画像をつくることの方が難しいという意味で、それほど問題はないと思います。ですから、ホンモノの画像づくりの大変さの方が、おそらく“難関”といえるでしょう。
もっとも、私はいわゆる鑑定士の目がどれほどのものか、という疑念があります。その意味で、高額ネットリサイクルは、真贋のシステムを確立できれば、ビジネスとして可能性はあると思います。マスにはならないでしょうから、あえてメルカリが本格参入するとも思えません。
難関をクリアする一つのアプローチとして鑑定をセミ自動化するのはありかもしれません。つまり、ある程度まではAIで真贋判定し、最後は人の目で鑑定するのです。そうすることで、鑑定士の負荷を最小限にしながら、効率的にかつ正確に出品物を鑑定することは可能になるでしょう。人を介することで信頼が高まり、ブランディングにもつながるでしょう。
ビジネスが軌道に乗り、真贋データが蓄積されていけば、それを活用した新たなビジネスの道が拓ける可能性もあります。初期投資は膨張しそうですが、ビジネスとしてのポテンシャルは高そうです。
PROFILE

株式会社サイシード
中村陽二(なかむらようじ)
東京大学工学部、同大学院工学系研究科修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでM&A、成長戦略の構築に携わった後、株式会社サイシード創業。100社以上の業務効率化、ツール導入に携わった実績を持つ。HP:https://www.sciseed.jp/