AIかRPAの選択における考え方

AIとRPAはどう棲み分ければいいのか

menu

×AI

連載:Q&AI

Vol.2

AIベンチャー社長がズバリ指南。失敗しないAI活用の勘どころ

業務の自動化を検討しています

Q:AIとRPAはどう使い分ければいいのか?

Q:業務の自動化を検討しています。そこでまずRPAの導入を検討していますが、AIと併せて導入すべきか、段階的でいいのかを決めかねています。当初はルーティン業務を中心に代替を考えています。そもそもAIとRPAを使い分ける境目はどのあたりと考えていればいいのでしょうか。

A:全く別物と認識しておきましょう

A:最初にいっておくと、両者は全く別物と考えておいてください。どちらも業務を自動化するということが共通はしているので混同されがちですが、使い分けるという次元の問題ではないので、正しく認識しておく必要があります。

RPAはロボティックプロセスオートメーションで業務の自動化を行うツールです。そのやり方は人間がパソコンで操作すること、例えばエクセルにデータを入力する作業をパターンとして覚え込ませ、それを再現させます。

AIは、データや構造などからAIが自ら学習し、自律的に作業を行います。違いは明白ですよね。つまり、人間との絡み方が根本的に違っているのです。RPAはあくまでも単調業務の代替が中心になりますし、AIは人間では膨大な時間がかかるような複雑な問題を並外れた演算能力で自律的に解決する。両者を同列で考えること自体ナンセンスなのです。

そもそも、RPAは10年以上前からあるツールですが、ここへきて注目されているのは2つの理由があります。ひとつはいよいよ人手不足が深刻になってきたこと。もう一つはやはり、ここ数年で注目度が高まったAIブームの追い風に乗ったということでしょう。前者は言うまでもありませんが、後者は「自動化」というキーワードによって、本来全くの別物ながらその境目があいまいになってしまった結果でしょう。

別物ですから料金的にも桁が違ってきます。AIは高い、RPAは安いという比較は無意味です。自動化によって何をしたいのか。企業としてまずそこを突き詰めた上で、初めて両者を検討の俎上に載せるのが正しいアプローチです。あくまでもルーティンワークを機械で代替し、別の業務へ労力を集中したいというならRPAの導入も悪くないでしょう。逆にマーケティング精度を一層高め、より事業を強化したいと考えているならAIの導入を検討していいかもしれません。

RPAは手軽に業務を自動化できるツールではありますが、不具合が発生しやすいともいわれています。その原因が決まったパターンなら、AIを導入することで、ツールの停滞を軽減することは可能でしょう。とはいえ、そこにAIを活用するなら、繰り返しになりますが、別物であることを踏まえ、より有効にAIのポテンシャルを活かせる方面に活用することを考えるべきです。

PROFILE

中村陽二

株式会社サイシード

中村陽二(なかむらようじ)

東京大学工学部、同大学院工学系研究科修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでM&A、成長戦略の構築に携わった後、株式会社サイシード創業。100社以上の業務効率化、ツール導入に携わった実績を持つ。HP:https://www.sciseed.jp/

関連記事