判定がブラックボックス化しないAI人事補完サービス

低価格、高品質なAI人事サービスはどこまで使えるのか

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判定結果を説明可能な次世代型AI人材アセスメントツールが登場

ICMGエグゼクティブアドバイザーの若林豊氏

AIか面接か。採用難の時代にあって、効率を取るかきめ細かさを重視するかは悩ましい課題といえる。採用やリテンションにAIを導入した成功事例は着実に増えており、効率以上の成果をもたらすことも証明され始めている。とはいえ、100%信頼するのははばかられるのが、多くの人事担当者の本音だろう。

100以上の研究論文、1000以上の測定値を読み込み、AIが学習

(株)ICMGが2019年4月から本格リリースするAI採用サービス「MERCURICS」は、そうした悩みや不安をクリアする次世代型の人事補完ツールといえる。シンガポールの国立研究開発機関からスピンオフした企業と共同開発した。ポイントは3つ。(1)面接だけでは把握しきれない採用候補者の行動特性、心理特性を踏まえた結果を提示できる。(2)会社の求める人材モデルの適合度を判定できる。(3)説明可能な科学的モデルに重点を置いた判定を行う。

これらが可能な理由は、同AIが、自己決定や職業的洞察などに関する100以上の研究論文、1000以上の測定値を用い、人的資本のためのAIアプリケーションを構築しているためだ。実証研究済みの学術的に認められたデータとテキストや画像、動画などの人間に関連したデータを多角的に学習することで、深い心理学的洞察まで導ける同サービス。それは、単なる採用候補の振るい落としに留まらない幅広い用途が考えられ、人事の戦略的採用を補完するAIツールといえるだろう。

(株)ICMG・若林豊氏「昨今、多くの日本企業は既存の主要事業の成長が鈍化し、先行きが不透明になっている。そうした中で新規事業を模索する動きも活発だが、それを推進する人材を必ずしも十分に確保できていない。こうした課題を打破するためには将来のビジネスポートフォリオを見越した戦略的採用活動が必要になる。このサービスはそれを補完するツールとして有効になるだろう」と同社エグゼクティブアドバイザーの若林豊氏は解説する。

簡単・低価格・高品質な次世代型AI人事補完ツールの可能性

研究論文や解析データは海外のもので、日本人にどこまでフィットするのかという課題はあるが、利用企業のデータを活用する場合には、構築までに数年はかかる。それを考えれば、データなしですぐに利用できる同ツールは試してみる価値は十分にあるだろう。加えて同ツールは、年間定額で1人2,000円~3,000円、と従来の人材アセスメント系のサービスの相場を大幅に下回る予定で、「質の高さでいえばコスパは極めて高い」(若林氏)と価格的インパクトもある。

利用方法は採用候補に性格や人生観、仕事観などに関する10ほどの質問に回答してもらうだけ。そうすると、仕事へのモチベーションや適正、離職確率などが、インプットされた研究データなどと関連付けされ、判定理由とともに弾き出される。プロセスがハッキリしないブラックボックス型でなく、明確に理由が示されるシステムのため、人材配置まで考慮した採用が可能となり、人事部の補完ツールとして理想に近い使い勝手といえる。

昨今、企業寿命はどんどん短命化し、人材流動化も加速している。そうした中で、成功モデルの賞味期限も短くなっており、人事データを活用した適正判定も一筋縄ではいかないのが実状だ。それらを踏まえても、データなしですぐに利用できる使い勝手のよさや人の多様な側面を説明可能な結果とともに導ける同ツールは、次世代型の人材アセスメントのニーズにも合致しており、AI人事市場で優位なポジションを取れるポテンシャルを有しているといえそうだ。

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